北方領土交渉が芳しくないらしい。古典落語の「うなぎの幇間(たいこ)」を思い出した。幇間(太鼓持ち)は、酒席などを口先ひとつで盛り上げる、古典落語ではおなじみの職業である。ある太鼓持ちが、浴衣姿の旦那と通りで出くわす。誰だったか思いだせないまま、昼飯でもたかってやろうと「どうも、大将っ。あの節は酔いましたぁ」と調子よく声をかける◆この太鼓持ち、首尾よくうなぎにありついたものの、どうも様子がおかしい。旦那が連れて行ってくれた店は小汚く「よく煮しめたような家ですな」。出てきたうなぎをほお張ってみれば「こりゃ、たいそうコシが強いうなぎですなぁ」と、目を白黒◆一国の首相を太鼓持ちに例えたくはないが、安倍首相はプーチン氏と15回も会談を重ねてきた。まずは手土産とばかりに極東地域のインフラ整備など8項目の経済支援を差し出したが、そのお返しが択捉島と国後島への新型ミサイルの配備とは◆落語は、いざお勘定という段になって旦那が「あたしゃ、はばかり(便所)に」と姿を消す。すっかりおごってもらうつもりだった太鼓持ちは、逆に食い逃げされて歯ぎしりするはめに◆来月15日の来日に向けて安倍首相は地元・山口県の老舗旅館でもてなそうと準備を進めているが、それにしてもロシアの旦那のあこぎなまでのしたたかさよ。(史)

このエントリーをはてなブックマークに追加