東名遺跡の今後の在り方などについて語り合ったシンポジウム=佐賀市の県立美術館ホール

鳥取県と島根県にまたがる「中海」の湿地保全活動について報告する米子水鳥公園の神谷要館長=佐賀市の佐野常民記念館

◆東名遺跡、認知度アップへPR課題

 約8000年前の貝塚を中心とした佐賀市の湿地遺跡「東名(ひがしみょう)遺跡」が国史跡に指定されたことを記念したシンポジウムが19日、佐賀市の県立美術館ホールであった。縄文時代早期では国内最大級となる南北500メートル以上の貝塚群、良好な保存状態の出土品が多いといった遺跡の重要性を再確認し、今後の課題を探った。

 パネル討議では、考古学の専門家やイラストレーター、文化庁の文化財調査官らが登壇した。遺跡について「貝や魚など保存状態がよく、海と人とのつながりを示す上で重要」「居住域と貝塚、墓、貯蔵穴、作業場とセットで分かる集落遺跡は日本でも同時期にはないはず」との意見が出た。

 認知度不足への指摘もあり「全国へどう発信していくかが課題」「東名を舞台とした物語を作ったらどうか。他地域の縄文遺跡と合わせて世界遺産を目指していけば重要性も分かってもらえる」との声もあった。

 基調報告では、佐賀市教委の西田巌さんが発掘調査の経緯を説明した。遺跡は1990年に佐賀市金立町の巨勢川調整池の建設工事に伴う調査で確認され、貝塚はその後「掘削工事でいろんな偶然が重なり、奇跡的に発見された」と振り返った。当時の食生活など県立博物館で開催中の企画展の内容も解説した。

 東名遺跡は10月3日に国史跡に指定された。シンポジウムは佐賀市教委主催で、県立博物館が共催した。

◆有明海干潟 鳥取・島根の「中海」事例学ぶ

 ラムサール条約登録を機に、干潟をより身近に感じる方法を考える「有明海干潟サミット」が20日、佐賀市の佐野常民記念館であった。県内や福岡県の有明海沿岸で活動するNPO法人や市民団体の会員ら約80人が、干潟の魅力を生かす方策について語り合った。

 干潟をより身近に感じてもらうことで保全につなげていこうと、NPO「有明海ぐるりんネット」が初めて開催。基調講演では、鳥取県の米子水鳥公園の神谷要館長が、鳥取県と島根県にまたがる湖「中海」での湿地保全の取り組みについて報告した。

 神谷館長は、国の減反政策や市民の署名活動で中海干拓事業が中止になった経緯やラムサール条約登録などについて説明。子どもを対象にした中海を守る人材育成の取り組みや、市民の関心を高める「中海クルージング」などを紹介し、「湿地を保全するためにはいかに多くの人を巻き込むかが重要」などと強調した。

 「干潟を身近にするには」と題したパネルディスカッションでは、神谷館長のほか有明海沿岸で活動する6人が登壇。「干潟に来る野鳥の増減を調べている」「干潟の生き物の観察会を開いている」などそれぞれの活動を発表し、干潟を身近に感じてもらうためのヒントを探った。

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