九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働を巡り、佐賀県が専門家から意見を聞くために第三者組織設置の準備を進めている。同じ九電管内の鹿児島県も年内にも発足させる方針で、他の立地県では既に設けられ、再稼働に独自の視点を加えたり福島第1原発事故の検証をしたりするなどさまざまな役割がある。各県とも、過去の経緯や地域の事情に合わせて専門家の組織を位置付けている。

 「組織がないことで県民が不安を感じているとしたら本意ではない」。9月の会見で佐賀県の山口祥義知事は、玄海原発再稼働に関して専門家の意見を聞く組織の検討を明らかにした。設置時期は「国の設置変更許可が出る前後」としており、早ければ年内になる見通しで、人選を進めている。

■再稼働の参考に

 再稼働の先行県として山口知事が「参考にしている」とした愛媛県には、農漁業、医療団体と報道機関の代表ら約30人で構成する伊方原子力発電所環境安全管理委員会がある。環境と原子力安全の二つの専門部会があり、それぞれ7~8人の専門家が名を連ねる。

 条例に基づく諮問機関ではないが、原発の安全性や環境への影響について知事に意見を述べる。伊方原発の再稼働では、四国電力が審査を申請した2013年7月以降、原子力安全部会が会合を15回、現地調査を3回実施し、200ページ以上の報告書を出している。

 愛媛県は独自に国の基準を上回る耐震設計や配電線の整備を求めたほか、原子炉容器の劣化の確認試験前倒しや原子力本部の移転など8項目を要求し、これに応じた四電の対応をチェックした。知事は部会の議論や報告書の内容などを、再稼働の判断の参考にした。

 同じく再稼働し、現在停止中の関西電力高浜原発がある福井県は、全国最多の計14基(うち3基は廃炉決定)が集中する。原子力安全専門委員会は、独立的、専門的立場から技術的な評価・検討を行い、県に助言する。知事の判断前には規制委の担当者を呼んで説明を求め、安全性に関する独自の視点も盛り込んだ報告書を作成した。

■新基準に懐疑的

 東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県の原子力発電所の安全管理に関する技術委員会は現在、福島第1原発事故の検証と総括をテーマに議論する。新潟県は「安全神話の中で福島の事故は起きた。検証が十分でないままの新規制基準には懐疑的」との立場だ。

 技術委員会が検証していた炉心溶融に関し東電は今年2月、過小評価していたことを公表した。新潟・中越沖地震があったほか過去には原発のトラブル記録を改ざん・隠蔽(いんぺい)していた問題もあり、新潟県は「技術面だけでなく東電の組織体制や意識なども含め、技術委員会で透明性高く議論してもらっている」と話す。

 佐賀県は第三者組織を常設する方針で、設置当初の目的は再稼働に関してさまざまな観点から意見や専門的なアドバイスを受けるとしている。委員は30人規模で、副知事をトップに農漁業や医療、経済、労働など各分野の団体の代表を想定し、その中に置く専門部会には原子炉工学や地震工学などの専門家が6~7人としている。

=考 玄海原発再稼働=

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