千葉県南房総市で行われているセブン―イレブンの移動販売=10月

 高齢運転手の交通事故が相次ぐ中、移動販売車の展開や運転免許証の自主返納者向けに優遇料金を設定するなど、車を持たなくても快適に生活できるよう手助けするサービスにタクシー会社やコンビニ各社などが力を入れている。高齢者の需要を取り込んで商機拡大を狙うが、収益面で課題も残る。行政の取り組みが先行するケースもある。【共同】

 「来るのを心待ちにしてくれる人も多い。ニーズの高さを感じる」。高齢者が遠く離れた店舗まで買い物に行く必要がなくなるよう、移動販売車を展開するコンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパンの広報担当者は、手応えを口にする。

 セブン-イレブンは2011年5月、茨城県で同業他社に先駆けて移動販売車を導入。今は過疎地を中心に21道県で35台を展開する。ただ既存店の従業員を派遣する必要があるため、十分な人手を確保できない店舗では、断念する例もある。

■ご用聞き

 同業ではファミリーマートも既に11都県に18台を投入。ローソンは冷凍や冷蔵設備を備えた移動販売車を自社開発し、14台を、17年3月末までに千葉県や川崎市、北九州市などに順次導入する。

 セブン-イレブンは、高齢者宅などへの弁当宅配の際、店舗で扱う商品の注文を取る「ご用聞き」も00年9月に始め、今は全体の8割弱の店舗で実施。ローソンも同様に、宅配大手佐川急便と連携し、東京都世田谷区でご用聞きに乗り出した。

 「利用者は着実に増えており、イメージ向上にも貢献している」。タクシーを全国展開する第一交通産業は、運転免許証を自主返納した65歳以上が返納を証明する書類を提示すれば、乗車料金を1割値引きしている。12年2月の沖縄県を皮切りに本社の北九州市や長崎県島原市などで導入済みだ。山塚伸吾・営業推進課長(42)は顧客の反応に、こう自信を示す。

■2年で10倍超

 北九州では、16年10月の利用件数は約千件で、導入した2年前から10倍超に増加。同社は問題の広がりを受け、他エリアへの導入も検討する。

 旅行大手のJTBは今年7~10月、福岡市内で70歳以上を対象にタクシーの定期券を試験的に発行した。病院や百貨店など各自が指定した目的地と自宅の計3カ所の間を1カ月間定額乗り放題で利用可能とした。ただ、JTBは「利用は目標に届かなかった」としており、本格展開が可能かどうか慎重に検討中だ。

 企業が採算面などからためらうサービスを、自治体が実施する例もある。三重県玉城町は民間のバス路線廃止に伴い09年11月から、町内で乗降場所や乗車時刻を自由に決められる乗り合いバスを無料運行している。財政が苦しい中、予約時だけ運行するなど費用削減に知恵を絞る。町生活福祉課の西野公啓課長(56)は「高齢者の生活に支障がないよう行政でカバーしていく」と意気込む。

 静岡県長泉町は12年7月から、返納した65歳以上にタクシー料金の1割を助成。青森県五戸町も今年10月から70歳以上の返納者を対象に、毎年1万円分のバス乗車券を配るなど、各地で取り組みが広がりつつある。

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