防衛施設庁から約6億4800万円の補助を受けて1994年に完成した三田川中央公園=神埼郡吉野ヶ里町

 駐屯地整備でプラスの効果として語られるのが、経済効果だ。部隊駐屯による人口増で、自治体の税収増、経済活動による地域への波及効果が一定程度見込まれるとされる。

 オスプレイ17機の配備とともに、目達原駐屯地(神埼郡吉野ケ里町)のヘリ約50機の移駐によって、部隊規模は700~800人程度になる見通しだ。

 九州防衛局の説明では、このうち300人程度が駐屯地内の隊舎に入る。残りの400~500人は、有事の際にすぐに駆け付けられるよう近隣に官舎を整備する考えで、「これまでの事例から見ると100~150戸程度整備するケースが多い」という。

 佐賀市は、自衛隊員800人が市内に駐屯した場合の税収の目安を試算し、8千万円弱になるとの結果を市議会で示している。前年度の納税義務者数と納付額合計を基に、1人当たりの納付額を約9万9千円として単純計算した。自衛官の平均年収が市民の平均を上回るとの予測や、同居家族の納税分も踏まえると、実際には8千万円を上回るとみられる。

 自衛隊基地が立地する自治体には交付金があり、固定資産税の代替的措置となる「基地交付金」、生活環境や地域開発などに影響が及ぶ自治体を対象にした「特定防衛施設周辺整備調整交付金」などがある。

 目達原駐屯地が立地する吉野ケ里町や隣接する三養基郡上峰町の例をみると、昨年度の基地交付金は吉野ケ里町が約4千万円、上峰町が約760万円で、「周辺整備調整交付金」が吉野ケ里町約3100万円、上峰町約3600万円。

 加えて、駐屯地など防衛施設整備による「障害」や「不利益」の緩和を目的とした補助金もある。ハード事業が主で、吉野ケ里町はこれまでに道路や排水路、公民館、公園のほか、小中学校や保育所改修などに利用している。

 駐屯地から地域への発注もある。駐屯地整備に伴う建設、設備関係の仕事が発生するほか、完成後も保守管理、メンテナンスの業者委託も考えられる。さらに駐屯地内で生活する隊員用の食材などは「周辺から調達することが多い」という。

 こうした状況を踏まえて、佐賀商工会議所や県商工会連合会など経済4団体は、「人口減少時代の県民生活や地域経済にとって好影響を与える」として、山口祥義知事や秀島敏行佐賀市長らに計画受け入れを促す要望書を提出している。

 ただ県内全体で考えれば、純粋な人口増はオスプレイ関連部隊分に限られ、目達原のヘリ部隊は吉野ケ里町から佐賀市に移るだけだ。経済効果は限定的との見方もある。

 「基地依存」への懸念を示す専門家もいる。沖縄国際大の前泊博盛教授(基地経済論)は「基地の経済は税金で維持されており、生産性は低い」と指摘。沖縄・普天間や牧港に関して基地内と外側で1ヘクタール当たりの収入(純生産額)を比較すると、基地の外側が基地内の2・4~3・8倍の生産性を持つという。「依存に陥れば思考停止になり、中長期でみても経済発展は望めない」と強調する。

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