壁に取り付けられた父親信義さんの形見のウナギ掻き

 今年の春、ウナギ竹筒漁をしている白石町深浦の小森義喜さん(55)宅を訪ねたときに気付いて撮ったショットである。父親の信義さんが4年前に80歳で亡くなり、生前使っていたウナギ掻(か)きを処分しようと思ったが、捨てるに忍びなく記念に壁に取り付けたわけだ。

 父親は生粋の潟坊で、義喜さんが高校を出ると農業は彼に任せてノリ養殖や赤貝養殖、ウナギ捕りや横待ち網など、干潟漁三昧の生活を送っていたそうだ。母親が早く亡くなったため、父が潟に行く時は妹と2人でよく船に乗っていたそうだ。

 義喜さんは父が亡くなる前に見よう見まねで漁を始めた。最初のころ結構捕ってきたので褒められ、まだ4年目だがそこそこ捕っているようだ。多い時には一日に大小40匹も捕ることも。昨年は1300グラムのウナギを捕り、柳川の魚市場で2万円で競り落とされたそうだ。

 それにしても、干潟漁の道具をつくっていた野鍛冶が次々に店をたたみ、佐賀県にウナギ掻きやスボ掻き、ウナギはさみなどを作る鍛冶屋がなくなったのは残念である。

写真家 中尾勘悟(鹿島市)

=有明海点描=

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