嬉野市の「犯罪被害者等支援室」。別の窓口に持ち込まれた相談でも、支援室に連絡が行き、ワンストップで対応する=嬉野市役所塩田庁舎

 犯罪被害者週間が25日から始まる。2005年に施行された犯罪被害者等基本法は、事件や事故に巻き込まれた被害者とその家族の支援を自治体の「責務」としているが、佐賀県内で関連条例を制定したのは7市町どまり。取り組みに濃淡があり、支援の在り方を模索しているのが現状だ。

 被害者へのサポートは経済的支援や転居、生活保護申請など多岐にわたる。

 嬉野市は今年4月、相談や支援の役割を明記した「犯罪被害者支援条例」を県内で初めて施行した。遺族らを対象にした最大30万円の見舞金給付や、住民の理解促進を掲げている。

 県警からの出向職員を配置し、09年に設置していた支援室を総合相談窓口にして対応している。13年以降、家庭内暴力(DV)や虐待など19件の相談があった。「被害者がたらい回しになるのを防ぐため、関係部署の職員を集め、まとめて話を聞くワンストップの支援をしている」と担当者。DVに悩む女性が市民課を訪れた際は、連絡を受けた支援室が対応し、警察とも連携してその日のうちに一時保護につなげた。

 7月に施行した三養基郡みやき町は、まだ相談は寄せられていないものの、窓口の適切な運用に向けて研修を検討している。担当者は「警察と協定を結ぶなど情報共有や協力の仕組みづくりを進めたい」と話す。

 県内には、窓口を設けていても条例制定には慎重な市町も少なくない。未制定の自治体担当者からは「相談が1件もなく、ニーズを把握できないと条例化は難しい」との声も漏れる。

 ただ、こうした自治体が、事件を口にするのをためらう傾向が被害者側にあることを、どれだけ理解しているかは疑わしい。

 被害者遺族で九州・沖縄犯罪被害者連絡会「みどりの会」会長の廣瀬小百合さん(鳥栖市)は昨年、県内のある自治体で被害者支援の窓口を尋ねると、「それは警察でしょう」と言われ、認識不足を痛感したという。「住民に最も身近な自治体の理解が深まらないと、被害者はますます孤立してしまう」と危惧する。

 NPO法人被害者支援ネットワーク佐賀VOISS(ボイス)は、どの自治体でも同じ支援が受けられるように働き掛けている。内田克範事務局長は「被害者が元の生活を取り戻すためには行政の経済的、福祉的な生活支援が不可欠」と指摘し、自治体窓口の周知や具体的な支援体制の整備を求めている。

■12月3日、アバンセでフォーラム

 犯罪被害者支援フォーラムが12月3日午後1時半から、佐賀市のアバンセで開かれる。事件で娘を失った遺族の講演を通して、被害者の苦しみや厳しい境遇を学び、地域で支えるまちづくりを考える。入場無料。

 熊本市で2011年3月、スーパー内で3歳女児が行方不明になり殺害された事件で、女児の父親の清水誠一郎さんが講演する。犯罪被害者週間(25日~12月1日)にちなみ、佐賀県と県警、NPO法人被害者支援ネットワーク佐賀VOISS(ボイス)が開く。

 問い合わせは佐賀ボイス、電話0952(33)2130。

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