■産後健診に公費助成

 厚生労働省が来年度から産後うつなどの予防のため、出産後2週間と1カ月の2回、「産後健診」への公費助成を始めることが決まりました。これはとても画期的なことです。

 これまで妊娠、出産、出産後は赤ちゃんを守っていくことが中心に考えられてきました。そのため日本は安心して出産をできる国になりました。一方、赤ちゃんの生命を支え続けているお母さんたちの現状はあまり注目されてきませんでした。大ざっぱにいえば、お母さんなら子育てできて当たり前と思われてきたのです。

 私の母の時代は兄弟も多く、母は妹や弟を背負ってでないと遊びに行けなかったそうです。まわりにたくさんの赤ちゃんがいて、赤ちゃんというもの、子育てというものを知らず知らずのうちに学ぶ環境があったのではないかと思います。

 いまはというと、赤ちゃんを触ったこともない夫婦が親になることが珍しくありません。産後数日の間、出産したところで赤ちゃんのお世話をおそわって、あとは自分たちに任されることが多いのではないでしょうか。

 お母さんも最初は新人なのです。戸惑って当たり前です。お母さんの多くは責任感が強く、まじめでひとりで頑張りすぎているように思います。親も子育てを自分たちだけで抱え込まず、人に頼ることを学んでいくことが、長い目で見て必要なことです。

 子育ては親ならできて当たり前、親の自己責任ということではなくて、多くの人の手や時間や経験のサポートがあり、あたたかいまなざしに見守られていてほしいと思います。

 今回の産後健診の公費助成をきっかけに、お母さんたちが気兼ねなく安心して自分の体調や子育てのなやみを相談できる場所が、各地にもっと増えるといいなと願っています。私たちも子育てを通じていろんな知り合いや仲間が増える、楽しくあたたかい佐賀を目指していこうと思います。

(すこやか女性クリニック院長 西岡智子)

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