嬉野市の養護老人ホームで入所者の胃ろう用カテーテル(管)を引き抜いたとして傷害罪に問われ、2017年12月に無罪が確定した女性職員(33)=鹿島市=が、施設側に休業損害や慰謝料など約1230万円を求める訴訟を佐賀地裁に起こした。施設側による十分な原因調査がないまま一方的に関与を疑われ、休業を余儀なくされたなどとしている。提訴は6日付。

 職員は14年12月25日に90代男性(当時)のカテーテルを引き抜いたとする傷害容疑で、15年5月に鹿島署に逮捕された。佐賀地裁は17年12月に無罪を言い渡し、確定した。証人の医師が「入所者の腹帯が緩く、体位交換をすると腹帯に引っかかって胃ろうが抜けることがある」と事故の可能性に言及した点について、判決は「一つの可能性を示唆するもの」とした。

 訴状によると、14年11~12月、男性入所者のカテーテルが抜ける事態は計14回あった。施設側は15年2月、職員に出勤停止と自宅待機を命じ、3月に鹿島署に通報した。「14回の事故は入所者による自己抜去や腹帯の引っかかりなどさまざまな原因が考えられたが、被告は調査を尽くさず『原告が抜いた』と決め付け、甚大な肉体、精神的苦痛を受けた」などと施設側の過失を訴え、体調を崩して現在も休業を余儀なくされているとしている。

 施設を運営する社会福祉法人は「訴状が届いておらず、コメントできない」としている。

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