西日本を中心にした豪雨は、死者100人を超える大災害になった。

 各地ではいまだ行方不明者の捜索も続く。大雨が地下に浸透すると、雨がやんでしばらくたってから斜面が崩れることがある。関係者はくれぐれも二次災害に巻き込まれることのないよう、慎重、着実に作業を進めてほしい。

 行方不明者の捜索と並び、被災地や避難所に要支援者が取り残されていないかが気掛かりだ。被災者や行政担当者は心身ともに疲弊している。既に、全国から自治体や医療関係者の救援チーム、民間ボランティアが現地に入り始めたが、関係者が効率よく連携し、支援態勢を整えてほしい。復旧作業の際には、天候回復に伴う熱中症や、水や泥による感染症の危険にも注意が必要だろう。

 今回の大雨では、台風7号の通過と、その後、列島を横切る梅雨前線の停滞により、暖かく湿った大気が延々と流れ込んだ。大雨特別警報は6日から8日にかけて中部、近畿、中国、四国、九州の1府10県に及んだ。

 降り始めからの降雨量も大雨の範囲も、気象庁が言うように、通常の警報基準をはるかに超える「数十年に1度、これまでに経験したことのない」ものだった。これまでの集中豪雨とは違っていた。

 ただ、多くの人が感じているように、近年の日本の雨の降り方は明らかに変わった。同様の豪雨災害が、地域を問わずいつでも起こり得ると認識し、備えを急がなければならない。

 早くから警戒していたのに、なぜこれほど多くの犠牲を出してしまったのか。防災関係機関は教訓を十分に引き出し、今後の対策に生かしてほしい。

 中でも、国の非常災害対策本部設置が、各地に特別警報が出始めてから3日目の8日だったのは、いかにも遅いと感じる。遅くとも5日夕には、国を挙げて早期避難を呼び掛ける状況ではなかったか。大雨特別警報を連日発表していた気象庁と、切迫感を共有できていたのか、官邸の危機管理が問われよう。対応の詳細が国会で明らかにされ、より迅速、適切な対応に改められることを望みたい。

 他方で被災自治体も、事態が落ち着いた後には、情報発信や避難を促す取り組みが十分だったかを検証しなければならない。被災者、犠牲者には高齢者や要介護者ら、いわゆる災害弱者も目立った。緊急事態をあらかじめ想定し、地域で、町内で、声を掛け合って早期避難することを訓練などで周知したい。

 自分が暮らす町内が濁流にのまれたり、穏やかな裏の里山が崩れたりする様子を、平時に思い描くことは難しい。これまで水害、土砂災害の少なかった地域ではなおさらだ。

 道路ができ、河川が改修され、町並みが整っても、地形、地質の本質は大きくは変わらないと専門家は指摘する。潜在的危険性はすぐには取り除けないということだ。

 被災地の多くは、ハザードマップで危険性が指摘されていた。地域で語り継がれてきた水害や土砂災害の歴史を学ぶことも大切だろう。地元に起き得る災害の種類、危険箇所を知ることで、いざというときにいち早く命を守る行動を起こせる。災害はいつでも「わがこと」となり得ると考えておきたい。(共同通信・由藤庸二郎)

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