巻き返しを誓い、タマネギの定植を急ぐ片渕康弘さん。産地として責任を果たそうと入念な土作りから再スタートしている=杵島郡白石町

■新技術や工夫対策進む 

 「べと病」が広がり、本年産が異例の不作となった県産タマネギの主産地杵島郡白石町で、苗の定植作業が最盛期を迎えている。産地が受けた傷は深く、作付けを減らす農家も目立ち、種子購入の申し込みは前年から1割減に。秋口の大雨で苗が発芽不良に陥るなど悩みは尽きない。「それでも今は再生を信じ、前に進むしかない」。生産者は技術の磨き上げで産地一丸の巻き返しを誓っている。

 県産タマネギは生産量で全国2位。3月下旬から10月にかけて出荷し、冬取りが主力の北海道産が9月から翌年4月に出回るため「産地リレー」が形成されてきた。ただ、今年は出荷量が多い5~6月の中晩生で被害が大きく、リレーが崩れて価格高騰の要因にもなった。

▼無情の雨

 県産の約6割を担う白石町。JAさが白石地区は、種子の購入状況から来年産の作付面積を前年比10・2%減の1133・86ヘクタールと推計する。特に打撃を受けた中晩生を手控える動きが目立ち、晩生が同17・8%減の16・3ヘクタールで、中生が同13・5%減の498・9ヘクタール。同地区園芸指導課の江口正樹課長は「生産者の不安が残っている。今年は新たな種子を買い控えているとも考えられる」と話す。

 「もう2割やられた。発芽時点でこんなことになったのは初めて」-。同町福富の田島清吾さん(62)はまばらになっている苗床を見やり、肩を落とす。肥大期にべと病の感染リスクが高い中晩生を避け、極わせ品種に重点を置き、全体の作付けも昨年より約1割減らした。9月中旬に種をまいたが、大雨に見舞われ裏目に出た格好だ。

 杵島農業改良普及センターとJAが収穫期の5月下旬に行った土壌断面調査では、圃場の排水対策が万全で、作土が柔らかく深く根が張ったものは、病害発生株であっても生育が良好だったことが分かっている。また、土壌に病原菌が潜んでいる圃場に長期間水を張ることで被害を抑制できた事例も確認されており、県農業試験研究センターなどが実証実験を行うなど、裏付けを急いでいる。

▼責任産地 

 県などは、こうした実例や調査を踏まえて生産者研修を実施し、現場への技術浸透を図る計画。農薬購入費を半額補助する予算措置も行い、再生産を強力に後押しする考えだ。

 県たまねぎ部会長の片渕康弘さん(64)は、深く入念にトラクターで土を耕して畝を高くし、有機物を投入して柔らかい土作りから始めている。「白石は責任産地。消費者の皆さんの期待をこれ以上裏切るわけにはいかない。国や県の支援が必要なところは求めるとしても、われわれ農家の力量が問われている」。危機感をバネに産地復興を誓っている。

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