環境アセスメント手続きの流れ

■「35ヘクタールの壁」実施予定なく

 防衛省が佐賀空港西側に整備を計画している駐屯地の面積は33ヘクタール。佐賀県が環境アセスメント(環境影響評価)に関して定める条例では、「宅地その他の用地の造成事業」に当てはまるが、対象規模を35ヘクタール以上としている。現状では環境アセスは実施しなくてもよいということになる。

 環境アセスとは何か。道路やダム、工場や宅地造成などさまざまな開発事業を進める際、環境に悪影響を及ぼさないように配慮した事業計画を策定するための一連の調査をいう。調査の主体は、開発を進める事業者で、法律では自治体や住民らの意見を踏まえた調査を求めている。

 手続きは、事業実施前が4段階、事業実施後にも報告書作成を義務付ける。4段階は、(1)環境保全のために配慮すべき事項をまとめた「配慮書」、(2)調査の項目や方法をまとめた「方法書」、(3)調査を実施して結果の事前予測と調査結果との比較、評価などをまとめた「準備書」、そして(4)住民や首長らの意見を踏まえた最終版の「評価書」。

 それぞれの段階で、首長や住民らの意見を聞きながら書類をまとめ、それに沿って調査し、結果を尊重した事業計画を作る。

 (1)~(4)では、それぞれ書類をまとめたら、公告・縦覧を約1カ月行う。さらに(1)~(3)では住民、知事、開発予定地の市町の首長は意見を述べることができる。調査は(2)の段階で住民や首長らの意見聴取を経て実施、項目は大気質や騒音、悪臭、水質、地質、生態系、景観、歴史的文化遺産、人と自然とのふれあいの活動の場など多岐にわたる。

 事業実施までに要する期間は、事業内容や開発当事者の取り組み次第によるという。ただ県の条例で各手続きに必要な期間を設定している項目があり、(1)の「配慮書」作成から知事が意見を述べるまで90日以内、(2)や(3)の公告・縦覧は1カ月などとなっている。さらに調査は四季を通じた影響を調べる意味から「1年程度実施するケースが多い」(県環境課)という。こうした数字を単純に積み上げても、2年程度は必要になるとみられる。

 防衛省は「県の条例に従って適切に対応したい」とし環境アセスは実施しない考えだ。ただ造成予定の33ヘクタールのほかに、弾薬庫周辺に保安用地を取得する方針を示している。保安用地は「開発行為を加えないため環境アセスの対象にならない」との考えだが、県側は「保安用地外周へのフェンス設置やのり面造成も全体の造成面積に加える」との認識を示す。

 今年3月、藤丸敏防衛政務官(当時)は佐賀市内の講演で、段階的に用地取得して環境アセスを回避する狙いを明かし、その後、発言を撤回した経緯がある。

 九州防衛局の住民説明会では、自主的な環境アセス実施の考えを問う質問も出されたが防衛局は実施の考えがないことを強調した。

 防衛省による自主アセスの事例は、沖縄県の東村高江のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)整備で沖縄防衛局が沖縄県の条例に準じる形で実施した。ただオスプレイ利用を前提としておらず、沖縄県がアセスやり直しなどを求めている。

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