再稼働を目指す九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)は、早ければ年内にも国の審査に「合格」する見通しだ。年明けからは「地元同意」の動きが本格化するが、法令や協定に定めのない手続きで、国は「地元」の範囲を明確にしていない。先行して再稼働を認めた鹿児島、愛媛、福井の3県は、「3・11」前と同様、立地自治体と県に限られた。玄海の半径30キロ圏に長崎、福岡両県も入り、再稼働に反対する首長もいる中で、佐賀県も同意範囲を踏襲するのかどうか、対応を模索している。

 福島第1原発事故以降、国は新たな規制基準を示し、原子力規制委員会の審査をクリアした原発に関して地元の理解を得て再稼働する方針を新エネルギー基本計画に明記したが、地元同意に関する法的な規定はない。原発の改修などでは通常、県や立地自治体と電力会社で結ぶ安全協定に基づく事前了解が必要だが、再稼働はこの手続きとは別の枠組みで進められる。

 「県として逃げるつもりは全くないが、国はしっかりと責任を果たしてもらいたい」。14日の定例記者会見で山口祥義知事は、国策として進む玄海原発の再稼働に関し、地元同意の範囲も国の責任を明確化した上で、県として対応する考えを示した。

 山口知事は同意の可否判断では、幅広く意見を聞く考えを繰り返し強調する。立地する玄海町や県議会の議論のほか、専門家を含めた第三者委員会の設置や県内首長が意見を交わすGM21ミーティングも活用する考え。福岡、長崎両県についても「話があれば真摯(しんし)に対応したい」と答えた。玄海町の岸本英雄町長は、周辺自治体にさまざまな意見があることを理解した上で「だからこそ同意に(意見を集約する)県が入っている」と強調する。

 福島の事故後、原発から半径30キロ圏の自治体には避難計画の策定が義務付けられた。このうち唐津市は、安全協定を準用して県の意見に市の考えを反映させる意向だ。市長が再稼働に反対する伊万里市は「少なくとも、30キロ圏にある地域は丁寧に意見を聞いてほしい」との思いは強い。

 伊方原発3号機の再稼働に同意した愛媛県は、山口知事と同じく周辺自治体の意見にも耳を傾けるスタンスだった。30キロ圏内の自治体は県に意見交換を求め、県の仲介で国が説明会を実施した。それでも最終的に「同意」したのは立地町と県だけだった。

 「震災前は交付金の対象自治体が地元だったが、福島の事故で国は明確にできなくなった」。地元の範囲に関し、内閣府原子力委員会委員長代理を務めていた長崎大学核兵器廃絶研究センター長の鈴木達治〓教授(原子力工学)は、事故の影響範囲の視点からは地元の定義は難しいとみる。避難計画を規制委の許可の対象にし、手続きを法令で定めるなど、国の法的責任の明確化が必要と訴える。

 一方で、国は地元の意向を無視できないと指摘し、「少なくとも30キロ圏の自治体は避難計画を策定する責任を負っており、地元と主張してもおかしくない。県や市町が積極的に、民主的に手続きを決めることが重要」として県の主体性を求めた。

※〓は郎の旧字体

=考 玄海原発再稼働=

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