中山間地域の再生に向けた取り組みを話し合った推進会議=県庁

中山間地域の振興に向けたプロジェクト推進会議であいさつする県農林水産部の御厨秀樹部長(奥)=県庁

 佐賀県は本年度から、中山間地域の維持、発展に向けたプロジェクトを始動した。担い手不足や耕作放棄地の増加、有害鳥獣被害など地域が抱える課題を把握し、解決に向けて主体的に取り組む集落や産地を、県や市町、JAなど関係機関が一体となってサポートする。農業、農地の維持や農業所得の向上につながる優良事例をつくり、県全体に広げたい考えだ。

 

 県農政企画課によると、県内の耕作放棄地面積は増加に歯止めがからず、1975年度の390ヘクタールから、2015年度は5069ヘクタールと農地全体の8・7%を占めるまでになった。高齢化に伴い、5年単位で行われる国の中山間地域等直接支払制度への参加を見合わせる農業者や集落も増え、第4期が始まった15年度の取り組み面積は、前年度の8305ヘクタールから大きく減らして7130ヘクタールになった。中山間地域は農地の集約も進まず、野生鳥獣による農作物被害も深刻なままだ。

 県の事業は5年計画で、まずは中山間地域の維持、発展に向けた機運醸成に力を入れる。各市町と、県農林事務所を単位とした地域単位でそれぞれ推進チームをつくり、「チャレンジ集落、産地」に指定した地区を重点的に指導する。県の推進会議は、市町の活動費補助や支援者者側の人材育成を担う。初年度の予算は約2100万円。来年度以降はハード面も含めた補助事業も検討する。

 4日の県推進会議には県やJA、農業公社などから約20人が出席し、事業の方向性を確認した。出席者からは「市町や県の担当者だけでなく、専任のコーディネーターがいた方がうまくいく」といった指摘も。県は、専門知識を持ったコンサルタントとの連携や、農業を熟知したJAや県OBを活動の「応援隊」として登録する方針も示した。

 県農林水産部の御厨秀樹部長は「危機感はあっても、地区をどうするかの話し合いすらなされていないのが実態。まずはそこからのスタート」と説明。農業、農村の維持という「守り」と、新たな品目の導入などで所得向上につなげる「攻め」の視点があるとし、「特効薬はない。関係機関が地域の人と一緒に知恵を出し、課題解決のために一つ一つ積み上げていきたい」と話した。

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