かさ上げ工事を終えた堤防(手前)と、古いままの共有地の部分(奥)には、くっきりと境目がある=佐賀市の早津江漁港

かさ上げ工事を終えた堤防(右側)と、古いままの共有地の部分(左側)には、くっきりと境目が=佐賀市の早津江漁港

 佐賀市を流れる早津江川沿いの堤防をかさ上げする工事が、川べりの土地の地権者を特定できずに暗礁に乗り上げている。該当の土地の登記は100年前の大正時代のまま。現行制度では全ての地権者の同意が必要だが、公共目的のために「利用権」を設ける特別措置法が成立し、事態が一気に動く可能性も出てきた。

 問題の土地の近辺は2006年の台風13号で、干潮にもかかわらず、波が堤防を越えて内側を大きく壊した。国土交通省筑後川河川事務所は10年前から、堤防の高さを50センチ~1メートルかさ上げして海抜6メートルに引き上げる工事に着手。工事区間1キロのうちほぼ全域の工事を終えたが、120メートル区間の買収だけが残っている。

 現場は早津江漁港内の南側の土地約1400平方メートルで、登記簿上は36人による共有地と、12人の共有地が隣接する。大正時代は漁具を置く小屋などが立てられていたとみられる。

 共有地を相続する人がどれだけいるかを12年に調べた結果、地権者48人の子孫は判明しただけでも約600人いて、現在も増え続けている。河川事務所は「一軒ずつ当たっているが、地元を離れていたり海外に移住していたりで、同意を得るのが難しい」と話す。

 放置されて所有者が分からない土地が、復興事業や市街地活性化の妨げになるケースは散見され、全国的に問題になってきた。その面積は全国に点在し、九州全体の広さを上回る約410万ヘクタールに達するという推計もある。

 6日に成立した「所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法」は、公共性のある事業のために「利用権」を新たに設け、国や自治体が土地を取得する手続きを簡素化する。来年6月までの施行が決まっており、河川事務所は「地道に交渉を進めるが、新法がこの土地に適用できるか確認していきたい」と話す。

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