長野県松本市が配布している30・10運動のコースター(同市提供)

 ■宴会 乾杯後30分と最後の10分は座席に

 年間600万トン以上も捨てられる「食品ロス」を減らそうと、国や自治体が本腰を入れている。中でも目立つ宴会の食べ残し対策として「乾杯後の30分と最後の10分は席に着いて料理を楽しんで」と勧める「30・10(さんまる・いちまる)運動」というユニークな取り組みも全国に広がってきた。年末に向けて宴席が多くなるこの季節。「もったいない」の意識で実践しませんか。

 「残さず食べよう! 30・10運動」と名付けて、2011年5月から提唱している“発祥の地”は長野県松本市だ。

 ■コースター

 居酒屋や宿泊施設に趣旨を記したコースターを配り、ビールや水を出す際などに使ってもらう。市の担当者は「ロスが半分に減った施設もある」と手応えを感じている。

 今では福岡県や神奈川県厚木市、佐賀市、宮崎市など多くの自治体が推奨。熊本県あさぎり町は14年6月施行の条例に、町民や飲食業者は30・10運動を実践してごみ減量に努めるよう明記した。松本市の提唱で、10月30日を「食品ロス削減の日」として、来年から全国大会を開催しようといった動きも出ている。

 ■料金割引も

 札幌市は「開始後25分」と時間を短めにし、「2510(ニコッと)スマイル宴(うたげ)」と名付けて呼び掛ける。静岡県は居酒屋などと協力し、宴会コースを食べきった客は料金を割り引く「食べきり割」を夏と冬に期間限定で始めた。

 農林水産省によると、13年度に推計2800万トンだった食品廃棄量のうち、まだ食べられるのに捨てられた食品ロスは632万トンに上った。世界の食料援助量約320万トン(14年)のほぼ2倍に相当する量だ。

 主な原因は食べ残しのほか、買い過ぎた食品の廃棄もある。このため、横浜市は毎月10日と30日に冷蔵庫の中をチェックし、手つかずの食品をなくそうと促す「冷蔵庫10・30(イーオ・ミーオ)運動」を展開する。

 ■初の数値目標

 こうした中、今年10月10日には、44都道府県と201市区町村の計245自治体が知恵を出し合おうと協議会を設立した。06年から食品食べきり運動をしてきた福井県が旗振り役だ。「足並みをそろえて一斉に運動を展開したい」と福井県の担当者は意気込む。

 政府も4月からスタートした「第3次食育推進基本計画」で、初めて食品ロス対策の数値目標を掲げた。消費者庁が14年度に行った意識調査で、有効回答約6500人のうち、食品ロス問題を知っていて削減に向けて行動している人の割合は約7割だったが、これを20年度までに8割以上に引き上げる。

 政府は「まずはこの問題を多くの人に知ってもらうのが課題」としている。【共同】

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