武雄市図書館の2017年度の利用状況がまとまった。書店やレンタルのTSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理運営を始めて5年。13年度からの利用状況を見てみる。

 武雄市図書館は13年4月、書店、コーヒー店「スターバックス」、CD・DVDレンタル店(17年5月閉店)を併設する図書館としてリニューアルオープンした。「ツタヤ図書館」として話題を呼び、図書館のあり方や指定管理導入の是非も問われた。初年度に全国から92万人超が訪れた“ブーム”も近年は落ち着いている。昨年10月には隣に「こども図書館」が開館。市は本年度から5年の期間で、指定管理契約を更新している。

 17年度の来館者は91万167人。14年度以降、80万人-72万人-68万人と減少を続けていたが、4年ぶりに増加に転じた。ただ、この数字は開館半年のこども図書館の来館者17万8342人も入っており、単純に比較できない。こども図書館を除くと73万1825人で、今後も本館来館者は70万人前後と推測できる。

 来館者は増加に転じたが、貸出利用者と貸出冊数は4年連続で減少した。貸出利用者数は13年度以降、16万7千人-15万3千人-15万人-13万9千人-13万7千人で、貸出冊数は54万5千冊-48万冊-46万冊-42万6千冊-41万冊と推移している。

 来館者と貸出利用者を佐賀市立図書館の数字と比較してみる。同図書館の17年度の来館者は47万3千人、貸出利用者は26万5千人、貸出冊数は134万冊で、来館者の56%が本を借りている。武雄市図書館は17年度は15%、16年度と15年度は約20%。書店やコーヒー店、歴史資料館の企画展来場者も来館者に入るため単純に比較できないが、来館者に占める貸出利用者の割合が低いことは、武雄市図書館の特徴といえそうだ。

 この特徴は指定管理運営導入前後の数字を比べても分かる。11年度と17年度を比べると、来館者は3・56倍、貸出利用者数は1・67倍、貸出冊数は1・21倍に増えているが、来館者の伸びほど、貸出利用者と冊数は増えていない。

 貸出利用者の市内外比率は市内54・5%、市外45・5%。指定管理前は市内が79・1%で、市外からの利用者が増えたのも特徴だ。

 指定管理運営から5年。来館者が大幅に増えてにぎわいを創出し、話題性で武雄の知名度を上げた。一方、図書館機能の評価はレファレンス(学習や研究のサポート)など数字で表せないものもあり難しい。利用者調査での満足度は85%を超えるものの、書店を併設しているため雑誌類が非常に少ないことや、DVDなど視聴覚資料の充実を求める意見がある。

 リニューアルに伴い、鍋島藩武雄領の蘭学史料を展示していた「蘭学館」がなくなったことを惜しむ声もある。明治維新150年の今年、当時の武雄の先進性が改めて注目されている。秋田竿燈(かんとう)まつりを招へいできたのも、戊辰戦争で活躍した武雄の先人の功績だ。その歴史を振り返り、アピールできる常設館がないのは残念だ。

 こども図書館開館や指定管理運営契約更新など、図書館運営は新たな段階を迎えている。市民の声を生かして運営充実を図りたい。(小野靖久)

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