九州新幹線長崎ルートの開業スケジュールなどについて見解を語る青柳俊彦社長=福岡市のJR九州本社

 JR九州の青柳俊彦社長は28日の定例会見で、九州新幹線長崎ルートに導入予定のフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の車軸不具合により、耐久走行試験の再開が延期されたことに関し、2022年度の暫定開業に向けて猶予はないとの見解を示した。

 開業スケジュールへの影響について、青柳社長は「計画が変わる可能性を具体的に言える段階にはない」と述べた。ただ、暫定開業時に一部導入するFGTの先行車や25年春以降の全面開業時に運行する量産車の開発に一定期間を要することから「悠長なことは言っていられない」と語った。

 車軸部品の交換などで既存の新幹線よりも2.5~3倍の維持管理費がかかるとの試算には「現実的なコスト水準を大幅に超えている」とし、採算ラインは試算していないと説明した。

 FGTの最高速度が既存新幹線よりも遅いため、JR西日本が山陽新幹線への乗り入れに難色を示していることには「そう考えるのは当然」と一定の理解を示す一方、「乗り入れできなければメリットは少ない」と意欲を見せた。FGTの性能などが正式に決まり次第、JR西日本に協議を申し入れる考えを示した。

 11日に長崎線などで発生した架線損傷事故に関しては、異なる周波数の電気を区分する装置の部品が腐食して壊れた可能性が高いとし、管内に54カ所ある同様の部品を来年9月までに交換する方針を示した。

 22日にも作業ミスで架線が切れ、ダイヤの大幅な乱れが相次いだことには「利用客らに迷惑をかけ、大変申し訳ない」と陳謝した。2回の事故による払い戻しなどで約1億8千万円の減収を見込む。経営合理化を優先し安全性を軽視したとの見方には「何ら関係ない」と強調した。

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