国の伝統的建造物群保存地区に選定されている有田内山の町並み

 115回目の陶器市が終わり、また有田に静寂の日々が戻ってきた。できれば、年中多くの観光客でにぎわってほしいと願うが、かと言って、日常的に陶器市のように多くの人々を受け入られるほどの、町の規模でもない。それに、やはり陶器市は、非日常的なお祭り。ぜひとも、伝統的建造物群が建ち並ぶ町並みや各種の文化財など、期間中には感じられない、素の有田の姿も堪能していただきたい。

 幸いにも今年の陶器市も初日は好天に恵まれ、一日としては過去最高に並ぶ26万人の人出となったそうだ。期間中のトータルでも目標を上回る124万人。記憶をさかのぼれば、第100回の際に100万人を超え、以後は安定的に100万人超えが続いている。

 陶器市と言えば、以前は、リュックに軍手姿の重装備、いわゆる陶器市ファッションも目に付いたが、今では、ずいぶん服装もカジュアルになり、大きな荷物を抱える姿もほとんど見かけなくなった。だんだんやきものを買うための行事から、ゴールデンウイークを楽しむ、行楽の一環に様変わりしてきたようだ。それに合わせて、店内の雰囲気もずいぶんスマートになり、雑然とやきものを積み上げたような光景は目立たなくなってきた。ただ、一方で、かつての熱気というか高揚感は、やや希薄になってきたようにも感じるが。

 やきものを買う場から、陶器市を体験する場へ。なお一層、受け入れ側の柔軟な対応が求められてきているように思う。

(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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