恒例の餅つき感謝会。人の労働と喜びが自然の奥に届きますように

■人の喜び、自然の奥へ届け

 鶏舎脇の大きな株立ちの姿が心惹(ひ)くケヤキは早々に葉を落とした。雑木の小径(こみち)のじゅうたんが厚みを増す度に、家路から月に気付くことが多くなる。

 つい先日、恒例の餅つき感謝会を行った。田んぼを手伝ってもらったり、いろいろお世話になった仲間を招いての振る舞いの会だ。会社員を辞して縁もゆかりもない三瀬村に飛び込んで16年になる。山に生きるということを何も知らなかった僕らがなんとかやってこられたのは、明らかに自分たちの力ではない。どれほど何かの修練を積んでも、日々を心健やかに無事に過ごすことは、それだけでは無理だ。自助には限界がある。

 僕らを取り囲むほとんどの物事の奥には人が立っている。その人を取り囲んでいるのは自然だ。その奥にはもっとあるかもしれない。それらすべてへの感謝と想像力をいつもどこかに持っていることぐらいしか僕らに出来ることはない。でも本当の心と暮らしにはそれしかないのだ。(養鶏農家)

このエントリーをはてなブックマークに追加