利活用の議論が宙に浮いている旧知事公舎=佐賀市中の小路(県提供)

 佐賀県の歴代知事が住んできた旧知事公舎(佐賀市中の小路)の利活用が宙に浮いている。一時は「肥前さが幕末維新博覧会」での活用も視野に民間に開放する方針だったが、議会側からは「知事公舎自体の在り方を検討すべき」と“そもそも論”が浮上し、議論は中断。県は県外の事例も調べながら「知事の住まい」の形を探っている。
 旧知事公舎は敷地面積2089平方メートル、延べ床面積430平方メートルの木造2階建てで、築120年以上が経過しているとされる。複数の応接室などがある公邸部と、知事の家族が暮らす私邸部に分かれており、古川康前知事が2014年に辞職するまで使用していた。
 老朽化などを理由に山口祥義知事は現在、旧知事公舎ではなく、旧副知事宿舎を使っている。複数ある部屋を公的と私的な空間で使い分けている。
 旧知事公舎の生かし方を探るため、県が専門家に点検してもらった結果、建物は老朽化しているものの、免震的な機能があり、最小限の改修で使用できることが分かった。昨年の11月県議会では、維新博でまち歩きの拠点の一つにすることも含め、利活用の方向性を出す考えを示した。
 これに対し、複数の議員から「免震的な機能があるなら知事が住むことも考えるべき」「県の財産であり、民間活用の議論を先にするのはどうなのか」という声が上がった。
 県は旧知事公舎の議論の前に、知事が住む場所のあり方に関して、根本的な検討をすることに方針転換した。セキュリティーや危機管理などさまざまな観点で、他県の事例を調査するなどしている。
 佐賀を除く九州・沖縄、山口8県でみると、長崎、山口の2県は知事公舎がない。長崎県は撤去し、市中心部にある立地の良さを生かして2005年に長崎歴史文化博物館が開館、知事は市内の自宅から通っている。山口県も解体し、知事は幹部公舎に住んでいる。
 ほかの6県は知事公舎で暮らす。一般開放していない県がある一方、宮崎県は大小3種類の会議室を有料で貸し出している。福岡県は毎年5月に開かれる博多どんたくで、公邸部前の敷地にステージが設けられ、市民も入ることができるほか、申請があれば公邸部の見学ができる。
 県資産活用課は、現時点でスケジュールは描けないとした上で「24時間365日、佐賀県の知事職にある人が住む所は、どこにどうあるべきか幅広く考えたい」と話す。

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