3年間の弟子期間を経て、初めて展示販売会を開く中里健太さん=唐津市見借の隆太窯

中里健太さんの作品。向付やミニカップ、豆皿など幅広い作品が並ぶ=唐津市見借の隆太窯

 唐津焼作家の中里隆さん(80)を祖父に、太亀(たき)さん(52)を父に持つ中里健太さん(25)が、3年間の修行を経て独り立ちする。生活様式がどんどん変わっていく現代で、「人の傍らにあるような器を作りたい」。頭を丸め、17日から初の展示会に臨む。名窯「隆太窯」で育った若者が作家として一歩踏み出す。

 子どものころは焼き物と器があるのが当たり前の環境で、「作ってみたいと思ったことはなかった」。唐津東高を卒業後、ニュージーランドでの10カ月間の語学留学を経て、2012年に東京の服飾専門学校に進みテーラーを志した。しかし偶然訪れた美術館で、土器などに出合った。人が作り、実際に誰かが使っていたものが今でも残っていることにエネルギーを感じ、「これをやるしかない」と決めた。

 2015年に父・太亀さんに弟子入り。唐津市見借の山あいにある自宅兼窯で草刈りや窯たきなど雑用をこなしながら、同年に入学した県立有田窯業大学校でろくろの使い方、釉薬(ゆうやく)の作り方といった基礎を学んだ。

 初めて焼き上がった白い小皿を見たときは感動したが、実際に使うと足りないものが見えて落ち込んだ。そんなことを繰り返すうちに「少しずついい器がどういうものか、自分の中に蓄積されてきた」と言う。

 作家としての太亀さんについて「意識しない訳ではないが、今は器が好きという気持ちのまま作品作りをめいっぱいやりたい」と意気込む。隆太窯を会場に開く個展では、初めて作品が人の目に触れる。「どんな反応があるかどきどきする」。少し恥ずかしそうに話した。

 個展は29日まで。水曜定休。問い合わせは隆太窯、電話0955(74)3503。

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