細水和子さんの作品「伝説の都市6」(118×95センチ)

細水和子さんの遺作展の準備を進めてきた左より、息子・細水英資さん、妹・髙取信子さん、弟・正己さん=佐賀市本庄町の高伝寺前村岡屋ギャラリー

故郷・佐賀での個展をかねてから望んでいた細水和子さん

細水和子さんの夫・清司さん

 佐賀市出身の木版リトグラフ作家・細水和子さんの遺作展が、佐賀市本庄町の高伝寺前村岡屋ギャラリーで開かれている。和子さんが長年、望んでいたという故郷・佐賀での里帰り展。闘病中に企画してきた夫の清司さんが今年1月に亡くなり、息子の英資さん(44)と、妹の高取信子さん(70)=東京都=がその思いを引き継いで開いた。20日まで。

 和子さんは中学、高校を佐賀で過ごした。大学卒業後は実践女子学園の美術科教諭として勤務する傍ら、元多摩美術大の小作青史教授の元で木版リトグラフを学んだ。2013年に日本版画協会の会員に推挙。作品の良さだけを見てもらおうと、海外の展覧会にも数々出品していたという。

 和子さんは2016年5月、78歳で逝去した。半年後、友人の多かった和子さんのお別れ会をしようと、清司さんが1日だけの遺作展を都内で開いた。

 「故郷佐賀の人にも見てもらいたい」。夫婦で約束していた佐賀での里帰り展に取りかかろうとした矢先、清司さんの病が見つかった。これまで作品展の準備や海外での出品の手続きを担い、常に和子さんの創作活動に寄り添ってきた清司さん。英資さんによると「病気が分かってから、とりつかれたように準備に取りかかっていた」という。

 遺作展は親族2人が遺志を引き継ぎ、開催にこぎ着けた。佐賀での作品展は14年ぶり。和子さんが手掛けた29点は、巨大都市を宙に浮かせたダイナミックな宇宙的空間をテーマに描き、すさまじい風がなびくような躍動を感じさせる。清司さんによる柔らかな色彩の油絵3点も展示する。

 英資さんは「絵への情熱を感じる。(和子さんは)死ぬ直前まで『退院して早く描かなきゃ』と言って、作品のことを考えていた」。妹の信子さんは「姉の絵を見て、悲しみを感じることはないと思う。姉自身のように力強い。しっかりしなさいと言われてるようですね」とほほ笑んだ。

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