佐賀空港周辺を試験飛行する在沖縄米軍のオスプレイ=11月8日、佐賀市川副町

■防衛省、可能性否定せず

 九州防衛局による住民説明会では、佐賀空港の米軍利用に関する質問が数多く出された。米軍の考えが見えづらく、防衛省側の要請内容が揺れてきたという経緯がある。現時点での防衛省の公式見解は「沖縄の負担を全国で分かち合うとの観点から、全国の他の空港との横並びの中で佐賀空港の利用も考慮したい」と米軍利用の可能性を否定していない。

 2014年7月の要請当初は、自衛隊のオスプレイ配備と目達原駐屯地(神埼郡吉野ケ里町)のヘリ部隊移駐とともに、沖縄・普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設まで米海兵隊の暫定移駐も要請していた。

 それが米軍との協議の難航によって政府の説明は移駐ではなく、訓練移転にシフト。さらに15年10月には中谷元・防衛相(当時)が来県時、「全国の都道府県が受け止められる負担の内容にも左右される」などと米軍利用の不確実性から要請の取り下げを表明した。

 一方で「米国との協議や負担軽減を巡る全国の自治体の取り組み状況を勘案した上で、必要に応じて改めてお願いさせていただく」と再要請に含みも残す。

 九州防衛局は佐賀県との質問のやりとりの中で、「米海兵隊が佐賀空港を使用する場合には、日米地位協定第2条第4項b、または第5条による」と説明している。2条4項bは日米の共同使用施設(一部の自衛隊基地など)の提供、第5条は米国の船舶や航空機による国内の飛行場、港への出入りを認める。2条4項bの場合は「県が設置管理する空港であることから、県条例に基づいて知事の許可が必要」とし、5条の場合も「民間機使用への影響の観点から、米軍から空港管理者(県)への通告など必要な手続きを行う」とする。「県の許可が必要」というのが基本的な考え方だ。

 こうした状況の中、不信感をあおる格好になったのが、佐賀空港への米軍訓練移転に言及した安倍晋三首相の国会答弁だ。10月13日の参院予算委員会質疑で、沖縄の負担軽減の取り組みの一環として「訓練の一部を佐賀で行うということで進めている」と述べた。

 佐賀県の山口祥義知事は15年1月の知事就任時から県民の関心の高さを踏まえて「米軍の問題は最大の課題」と位置付ける。安倍首相の発言を受けて「状況に応じて総理とお会いして確認を取るということも必要」と首相に直接確認する考えを示している。

 全国知事会は米軍基地負担に関する研究会を設置、今月21日に初会合を開いた。沖縄の負担軽減を目指す方向性だが、会合は2~3カ月に一度のペースで開く予定でどのように議論が進むのかは見通せない。

 政府は、在日米軍の再編に伴い基地負担が増大する自治体を対象とした交付金制度の拡大を検討している。07年に成立した特別措置法が来年3月で期限を迎えるため、期限延長とともに市町村だけだった交付対象を都道府県や自治会に拡大することも考えている。地域振興にも使える「アメ」で負担軽減の議論を加速させたいという思惑が見え隠れする。

=国策と地方 第12章=

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