佐賀県が各職場のセクハラ相談員の職員を対象に開いた講習会=県庁

 前財務事務次官のセクハラ問題で、被害者が組織内で声を上げにくい実態が改めて浮き彫りになった。国はセクハラの相談窓口や担当者を置くことを企業や自治体などに義務付けているが、実際に相談する被害者は少ない。被害者の立場に立った相談しやすい環境づくりが求められており、佐賀県内でも担当者を対象にした研修などの動きが出始めた。

 男女雇用機会均等法に基づく指針で、事業主に相談窓口や担当者の設置をはじめ、被害者への速やかな配慮、プライバシー保護など10項目の取り組みを求めている。佐賀労働局雇用環境・均等室は「県内のほとんどの事業所が相談窓口を設置している」としているが、労働政策研究・研修機構が2015年に実施した全国の実態調査によると、実際に企業の窓口に相談した被害者は全体の3%にとどまる。逆に「我慢した」「特に何もしなかった」が6割を超えた。

 同室は「経営者や管理職など強い立場の人間からセクハラを受けるケースが多く、相談が不利益につながるリスクを感じているのではないか」と分析。企業に対しては社内アンケートを実施して実態把握に努めるなど踏み込んだ対応を求め、「組織のトップが相談を促す姿勢を示すことが重要」と話す。

 また、相談窓口についても、相談しやすい環境づくりの重要性が指摘されている。佐賀県は14日、各職場に配置しているセクハラ相談員を対象に講習会を5年ぶりに開いた。昨年、職員よるセクハラ事案が発生した際、職場の相談窓口が十分に機能しなかったことを踏まえて企画した。

 講師を務めた小城市の社会保険労務士・副島泉さんは、セクハラについて相談すること自体に勇気が必要であり、「日頃から信頼関係を築き、相談を受けたら態度や言葉で『あなたの立場に立って理解しています』というメッセージを伝えることが重要」と指摘。相談対応の報告範囲を伝えるなど、プライバシー保護に細心の注意を払うよう求めた。

 県は、各職場で所属長を含む2人を相談員に指定しており、午前、午後の2回開いた講習会には約280人いる相談員のうち約150人が参加した。40代の女性職員は「実際に相談を受けるが、職場内でコミュニケーションが取れていれば相談につながると感じる。普段から話をしやすい雰囲気づくりを心がけたい」と話した。

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