両サイドこなす貴重なレフティー

 

 安在和樹は今年で24歳になるが、その経験値は同年代のトップ選手たちと比べても決して引けを取らない。小学生の頃から東京Vの下部組織に所属し、高校を卒業後、トップチームに昇格すると一年目からリーグ戦のピッチに立った。昨季までの5年間で144試合に出場し7得点。得意とする左足から繰り出す高い精度のクロスやシュートは東京Vにとって欠かせない武器となり、昨季のJ1昇格プレーオフ進出の原動力となった。しかし、オフに鳥栖からオファーが届くと、「もっと成長したい、もっと良いサッカー選手になりたい」という思いから移籍を決断した。

 サッカー界では極めて稀有(けう)な選手と言える。「左利きだが、左サイドはもちろん、右サイドでもプレーすることができる」とマッシモ・フィッカデンティ監督が評価する点が稀有である理由だ。左利きの選手というだけで希少価値が高く、それゆえに左利きのサイドバックは左サイドでプレーするのがサッカー界の常識になっている。しかし、安在は東京Vで戦った昨季、左利きでありながら右サイドでプレーしてきた。「自信を持って両サイドでプレーすることができる。多くのポジションをこなす上で自分の特長を出せているし、それぞれのポジションで何をすべきかの判断もしっかりできている」と指揮官は安在の能力を高く評価する。

 鳥栖に加入後、まだ出場機会が限られているが、試合の中ではその左足から見せ場をつくるシーンも徐々に増えてきている。ただ、若くして経験豊富と言えどもJ1の舞台は未知の世界。アピールにつながる確かな結果は残せていないのが現状だ。「最後の精度にもっとこだわっていかないといけない」と自身も課題を冷静に見据えている。

 鳥栖のサイドバックは昨季、左を吉田豊と三丸拡で担い、右は小林祐三と藤田優人がポジションを争っていた。両サイドで勝負できる安在が成長すれば、左右ともさらに競争原理が増していくはず。安在が成長してポジションを奪ったとき、チームもまた成長を遂げているはずだ。

 

 

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