作家の重松清さんは、母校の早稲田大学で教壇に立つ。科目は大衆小説論や文芸・ジャーナリズム論。講演を聴いた時、「柄にもないことを始めた」と話した重松さんだが、引き受けた理由はどんなところにあったのか◆重松さんは一昨年と昨年、心臓の治療で入院。体重が20キロ減ったという。そういえば、ふっくらした顔つきのイメージとは少し違っていた。それが「50代半ばになって命や健康を意識するようになった。自分にできることがあれば伝えておきたい」という気持ちにさせた◆もうひとつの理由は、東京五輪を控えていることと、天皇が代わる時代の節目を「若者がどう見ているか知りたかった」からだ。重松さんといえば、家族の風景を時代や街とともに紡ぐ作家の印象がある◆同じ駅前の雑踏でも、現在と昔では風景が違う。重松さんは市川崑総監督の映画「東京オリンピック」(1965年公開)で多くの高齢者が出てくるシーンを挙げ、「戦争を知る人が平和の祭典をかみしめている様子を撮りたかったのでは」という◆いま、首都圏の大学は地方出身者が減り、関東の学生が7割以上を占めるところもある。岡山県生まれの重松さんが通ったのは35年ほど前。時代もキャンパスの風景も変わりつつある。そんな中で重松さんは学生たちにどんな思いを語るのだろうか。(丸)

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