明治日本の産業革命を可能にした背景と佐賀藩の役割について講演した国立科学博物館産業技術史資料情報センターの鈴木一義センター長=佐賀市の佐賀城本丸歴史館

 特別展「肥前さが幕末維新の『技』」にちなんだ記念講演会が14日、佐賀市の佐賀城本丸歴史館であった。国立科学博物館産業技術史資料情報センターの鈴木一義センター長が「明治日本の産業革命はなぜ可能だったか? 佐賀藩の果たした役割」と題して講演。日本が近代化できた要因を知識の共有という観点から解き明かし、佐賀藩がその推進力となったことを示した。

 鈴木センター長は明治日本の産業革命について「物まねやずるではない」と指摘。蒸気船や大砲の製造過程がきちんと段階を踏んでいることなどを示した上で、「何を目的に作っているか正確に理解し、自力で試行錯誤をしていた」とした。

 またその試行錯誤を可能にした素地について、海外の書物を翻訳し、知識を広く共有する社会体制に見出した。「各藩の殿様が、領民の役に立つ知識を隠さず社会に出していた。当時の日本の識字率が世界一だったのもそうした社会体制の現れ」と説明した。

 その上で、佐賀で成功した反射炉の製鉄技術が各地へ伝わった経緯も「本来秘匿すべき軍事技術まで外に出した。日本が本来持っていた社会体制に、佐賀がうまく近代を吹き込むことで、日本を先に進めた」と評価。それを指示した鍋島直正を「名君中の名君」と評した。

 特別展は5月13日まで。土日を中心にギャラリートークも開く。

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