「貧者の核兵器」と名がつく化学兵器。核兵器に比べ製造費用が少なく、材料の入手が容易だからだ。だが、殺傷能力は非常に高い。おととい、その化学兵器の使用疑惑で米英仏がシリアの施設を攻撃した◆シリアでは2011年に内戦が始まって以来、1千万人以上が家を追われ、数十万人が死亡している。一昨年12月、当時の国連事務総長が「地獄と同じだ」と表現。国連としての役割を果たせず、「われわれは人々を見捨ててしまった」と語ったことは記憶に新しい◆多数の難民も生んだ。浜辺に漂着したシリア難民アラン君の遺体の写真を覚えている人も多いだろう。アサド政権は化学兵器の使用を否定している。しかし、内戦で市民や子どもたちが巻き添えになっていることは事実だ。対テロ名目で少数民族の弾圧も起きているという◆ロシア、トルコ、サウジアラビア、イラン、イラク、イスラエル、そして米国。多くの国の思惑が絡み、長引く内戦。大国の論理に振り回される市民。ノーベル平和賞を受賞したマララさんのスピーチを、いま一度思い起こしたい◆「なぜ『強い』といわれる国々は、戦争を生み出す力があるのに、平和をもたらすことにかけては弱いのか」「戦争で子どもの命が失われることも、子どもが学校に通えないことも、これで終わりにしましょう」。(丸)

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