農業と福祉、双方に利益につながる連携のあり方を考えたセミナー=佐賀市のグランデはがくれ

■「農業」担い手不足、「福祉」低い就業率

 障害者が農業従事者となる「農福連携」の取り組みを推進する県内初のセミナー(県主催)が3月下旬、佐賀市で開かれた。農業や福祉、行政の関係者らが参加。担い手不足や耕作放棄地の増加に悩む農業分野と、就業率が低く、賃金が安い障害者福祉の双方の課題を解決し、互いの利益につなげる「ウィンウィン」の関係づくりに必要なことを考えた。

 国の調査(2015年度)によると、農業者の平均年齢は66・3歳で、就業人口は20年足らずで約半数に減少した。一方、障害者福祉分野では、雇用契約を結ばずに働く就労継続支援B型事業所の平均工賃は全国平均で月1万5千円程度と低く、底上げが課題となっている。

 セミナーでは、農水省の担当者が農福連携の現状や国の支援制度を説明し、全国農福連携推進協議会の濱田健司会長が、全国の先進事例を交えながら講演した。濱田会長は「障害者が社会とつながりを持つきっかけになる」と連携の意義に触れ、生産者が障害者施設に営農指導に行くなど、できるところから交流を始めてほしいと述べた。その上で、「障害者を安価な労働力としてとらえてはならない」「障害者を利用して社会貢献活動をPRしない」と心構えも強調。「利益だけを追求せず、農業、福祉、地域みんなが幸せになることが大切」と訴えた。

 県内からは、佐賀市のNPO法人「佐賀中部障がい者ふくしネット」コーディネーターの藤戸小百合さんが、県やJAさがと連携し、ホウレンソウの出荷作業を福祉作業所が請け負った事例を発表。野菜を階級ごとに分類するために道具を色分けしたり、比較写真を置いたりして工夫をし、障害者が働きやすいよう「作業の見える化」に取り組んだことなどを説明した。

 取り組みについて、事業所、生産者の双方から好意的な声が寄せられた一方、「福祉事業所の就労時間と農業の作業時間が合わない」「担い手不足が深刻な中山間地までの移動距離が長い」といった改善すべき新たな課題も見えてきたと説明。「農業側、福祉側が協力をしながら活動が広がっていくことをサポートしていきたい」と話した。

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