2年前の4月14日夕方、熊本県の地元紙・熊本日日新聞では新人記者5人が研修を終えたばかりだった。午後9時26分、震度7の激震が襲う。熊本地震「前震」だ。新人記者たちは、いきなり大災害に直面した◆そして16日午前1時25分、今度は「本震」が発生。熊本赤十字病院で本震に遭遇した医療担当記者は、血まみれの患者や心臓マッサージを施す医療者らを捉えた。科学担当記者は、益城町の地表に現れた横ずれ断層を緊急ルポした◆熊本日日新聞のTさんから話を聞いたのは、発生から1カ月半たったころ。記者自身も被災者となりながら取材は続いた。自宅が損壊、車中泊を続け現場に向かった記者、子どもの預け場所に困った子育て中の女性記者もいた◆「地震の影響は熊本の将来、地域の存亡にかかわる。地元紙として永続的な取材を進めていくテーマとなった」とTさん。課題もあった。プライバシーを踏まえた写真撮影や遺族に配慮した取材姿勢は徹底したか。過去の震災の教訓は生かせたか◆あれから2年。Tさんに電話すると「震災を風化させてはいけない」と今の思いを語ってくれた。100回近い連載「連鎖の衝撃」は本にもなった。あとがきに「変わり果てた古里の姿に胸を締め付けられながら、ほとばしるように書き続けた」とある。2度の激震の貴重な記録だ。(丸)

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