希望の党と民進党が、旧民進党勢力による新党結成に向けて協議を急いでいる。

 安倍政権に批判的な民意の受け皿を一本化しようとすることの意義は否定しない。しかし、昨年10月の衆院選を前に旗揚げされた希望に合流するため分裂してから半年もたっていない。通常国会を目前に控えた今年1月中旬には新党を念頭に置いた統一会派結成を幹事長レベルで合意しながら両党内で反対論が噴出、頓挫している。

 統一会派さえ実現できなかった両党が、3カ月後には、よりハードルが高いはずの新党で合意するという経緯は支持者にとっても理解しにくい。衆院選での当選目当てに民進党を捨てて希望に移ったものの、その勢いがなくなったため、元のさやに収まろうとしているようにしか見えない。

 まず、一連の経緯を総括し、支持者や国民に説明する必要がある。それなしに協議を進め、新党を立ち上げるなら世論の批判を受け、民意の受け皿づくりという目的からすれば本末転倒になる。

 立憲民主党は協議に参加しない見通しで、合流が実現しても野党の分立状態は解消されない。政権交代への道筋も提示する必要があるだろう。

 早ければ大型連休前の立ち上げを目指し、新党の綱領や政策づくりは着々と進んでいるようだ。

 12日には希望、民進の幹部でつくる協議会が基本政策の骨子案を両党にそれぞれ提示した。焦点だった憲法改正について「わが国が自衛権を行使できる限界を曖昧にしたまま、憲法9条に自衛隊を明記することは認めない」としている。

 しかし、両党が新党に向け、まとまっているわけではない。内外に反対論がある。希望の結党メンバーで政調会長を務める長島昭久衆院議員が急先鋒せんぽうだ。希望の玉木雄一郎、民進の大塚耕平両代表が新党協議を開始することに合意した今月9日、「昨年の衆院選で希望へ投票した支持者への背信行為だ」として協議会への参加を拒否した。

 長島氏の反対論について岸本周平幹事長代理は「一部にとどまり、理解を得られた」と述べているが、「一部」であってもその主張に理を感じる支持者の方が多いのではないか。

 他方、大塚氏らから「野党第1党の党首に、中心になっていただきたい」と秋波を送られる立憲民主党の枝野幸男代表は「永田町のくっついた、離れたに巻き込まれることなく筋を通す」などとして統一会派構想の際から一線を画す姿勢を貫いている。

 枝野氏はむしろ、理念、政策の一致を前提に個々に立憲民主党に入党するよう呼びかけている。呼応するかのように杉尾秀哉参院議員が民進党を離党、12日、立憲民主党に移った。

 旧民進党勢力の最大の支持団体である連合の神津里季生会長は新党協議を「野党として大きな固まりをつくってもらいたいとの思いが根底にある。一つのステップとして評価したい」と期待感を示すが、最終的に野党が一本化する見通しは極めて少ない。

 そのような状況の中であっても新党を立ち上げるというのであれば、玉木、大塚両氏は現実的にどのような枠組みで政権獲得を目指すのかも示さなければならない。新党結成後の展開は出たとこ勝負では、無責任極まりない。(共同通信・柿崎明二)

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