九州の強豪高校演劇部が集結する「2018がばい高校演劇祭inひがしよか」が3月29、30の両日、佐賀市の東与賀文化ホールで開かれた。9校の生徒による熱気に満ちた演劇祭を、さが総文演劇部門実行委員長の佐賀清和高1年吉崎花菜さん(16)ら演劇部員が取材した。本年度の高校演劇九州大会に佐賀県代表として出場した鳥栖商高や佐賀東高、過去に全国制覇を達成した久留米大学附設高(福岡県)や大分豊府高(大分県)など、個性的な演目や部員たちがめじろ押し! そんな演劇祭を舞台に、佐賀清和高と鳥栖商高の生徒らが演劇にかける仲間たちの姿を追った。学年は演劇祭開催当時。

 

【動画】

 

【参加校】伊万里高、東明館高、鳥栖商業高、鳥栖高、佐賀清和高、佐賀東高、久留米大学附設高(福岡)、久留米市立南筑高(同)、大分豊府高(大分)(順不同)

 

大分豊府高「鬼ぃさんといっしょ」

 

迫力の装置とリアクション

大分豊府高にインタビューする佐賀清和高

 大分豊府高は「鬼ぃさんといっしょ」を上演した。同校演劇部は現在部員25人で活動している。旗を使ってのアクションシーンでは、皆で動きを合わせて大人数ならではの演出をした。また、舞台装置も普段は使わない吊り物を使うなど、大掛かりなものになったという。非常に迫力のある舞台だった。
 演出の2年小川茉(ま)優(ひろ)さんは「善悪に分けられる物事はなかなかない」と話す。作中に登場する桃太郎も一見ヒーローのようで、実は心の中に鬼を飼っていた。小川さんは「鬼を倒すために桃太郎は奮闘するが、結果それが悪に見えてしまう。そういう善悪の区別がつきづらい世の中を表した」と

イケメン桃太郎との記念写真にテンションMAX!

話していた。
 部長の2年後瑠華(うしろるか)さんは「台本の解釈に時間をかけてしまい、稽古が詰め詰めだった」と話していたが、解釈に時間をかけた分、この舞台の世界観を見事に表現できていた。(佐賀清和高2年・吉田朱那(あやな)、1年・吉崎花菜(はな)、片山義深(よしみ))

 

 

佐賀東高「ママ」

 

 

生きることを実感 

終演後、涙をこらえて佐賀東高にインタビューする鳥栖商高

 全国に名だたる佐賀東高校演劇部。彼らが今回上演したのは第61回全国高等学校演劇大会(びわこ総文)で上演された「ママ」という作品だ。この作品は動画共有サイトにも投稿されているが、再演では登場人物の性別変換、人数調整がなされていた。
 佐賀東高校演劇部は毎年多くの依頼を受けて上演をしているため、練習期間が驚くほど短い。今回は1週間で作り上げた。上演前日も遅くまで練習していたそうだ。
 「ママ」の上演直後、部長でもあり、主役の「ママ」を演じた3年の松田紗葵(さき)さん(17)に取材した。松田さんは「この作品を通して、自分たち自身も『生きる』ことを実感できた。『生きる価値』を誰かが教えてくれることもあれば、自分自身が誰かの価値を教えることだってある。お客さんには、周りが自己満足に巻き込まれることで、それは自己満足じゃなくなって『みんなで生きている』という温かいものになるということを受け取ってもらえたらうれしい」と話した。また「昨年度卒業された先輩方が上演した思い出深い作品であり、プレッシャーもあった。しかし自分たちでやることで学び直せるところもあり、刺激を受けた。また次に挑んでいきたい」と笑顔で語っていた。(鳥栖商高2年・立石鈴菜)

 

鳥栖商高「Simulation」 

 

 

現実と虚構の境 曖昧に

 

 鳥栖商高は、1年生の龍尾陽槻(りゅうおひづき)さん(16)が手がけた脚本で新作舞台「Simulation」を上演した。百戦錬磨の顧問真子多恵教諭も「これを舞台化できるの?」と驚いたという複雑な構成の舞台だ。
 脚本の中で書かれる脚本の中で書いている脚本の中で…と、いくつも入れ子状に虚構が連なっていく物語。主人公の男の子が抱く「この世界は誰かの脚本を元に動いているのではないか?」という疑問と舞台がリンクして、現実と虚構の境を曖昧にしていく。
 観劇した武雄高演劇部1年の坂本美咲希さん(16)は「今まで見たことない話」と驚き、「場面転換での平台や照明の使い方が勉強になった」と話していた。

 

久留米大附設高「Oedipus(木曜日の放課後、猫とわたし篇)」

 

鬼気迫る演出と演技

 

 久留米大附設高の「Oedipus(木曜日の放課後、猫とわたし篇)」は、ギリシャの悲劇「オイディプス王」と現代の高校生を軸に進む。父を殺し母と結婚するという予言から、何が何でも真実を知ろうとするオイディプス。「自分が何者か知りたい」と追い求める高校生の物語が交錯する。
 ステージではなく観客と至近距離のホワイエで上演。階段を古風な館に見立てた演出とダイナミックな演技、宵の光が照らす舞台でさらに観客を物語へと引き込んだ。部長の1年下野舞花さん(16)は「舞台を大きく使えたので良かった。気持ちが高ぶるシーンが多くて、冷静さを保ちながら演技をした」と話す。
 真実を知ったオイディプスの変貌を演じきった1年田中涼子さん(16)は「会話劇とは違い、長ゼリフとテンポの速さが大変だった」と役どころの難しさを語っていた。

 

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