ユネスコ無形文化遺産登録が決まった「唐津くんち曳山行事」。1番曳山「赤獅子」を先頭に曳き込みに向かう曳山=11月3日、唐津市坊主町

 【アディスアベバ共同】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間委員会は11月30日(日本時間12月1日未明)、エチオピアのアディスアベバで開いた会合で唐津市の「唐津くんちの曳山(ひきやま)行事」など18府県33件の祭りで構成する「山・鉾(ほこ)・屋台行事」を無形文化遺産に登録することを全会一致で決めた。最終日の2日、リスト記載の手続きをする。歌舞伎、和食、和紙などに続き、日本の無形文化遺産は計21件になる。

 文化庁が公表した決議文仮訳によると、地域住民が力を合わせて運営を続けてきた点や、山車(だし)の資材を調達するため計画的な植林が行われていることが高く評価された。

 唐津くんちは唐津神社の秋祭り(11月2~4日)で、獅子や兜(かぶと)、鯛(たい)など現在の14台の曳山(やま)は、町ごとに江戸後期から明治にかけて制作。和紙を貼り重ね、漆で仕上げている。

 安倍晋三首相は「心からうれしく思う。誇りを持って後世へと継承し、国内外に発信していきたい」との談話を発表。国内の関係各地から「世界の宝だ」などと歓迎する声が次々と上がった。

 33件はいずれも国の重要無形民俗文化財に指定され、住民らの保護団体がある。過疎や少子化で祭りの担い手不足が進む地域も多く、登録は大きな励みになりそうだ。

 山や鉾、屋台は神のより代と見なされる造形物で、山車と呼ぶ地域もある。木工や金工、漆塗り、染織などの技術を駆使して華やかに飾ったものが多く、祭りの際は住民らが引いたり担いだりして練り歩く。登録対象の行事の中では「京都祇園祭の山鉾行事」(京都)が最も古く、平安時代に起源があるとされる。

 33件のうち京都祇園祭と「日立風流物(ふりゅうもの)」(茨城)は、2009年にそれぞれ独立の遺産として登録されていた。だが11年の審査で「秩父祭の屋台行事と神楽」(埼玉)と「高山祭の屋台行事」(岐阜)が先行2件との類似を理由に退けられたため、政府は特徴の似た行事をグループ化して一つの遺産と位置付ける手法に切り替え、昨年3月に33件の一括登録を申請した。

 決議文は、高岡御車山(みくるまやま)祭(富山)について「年配世代が若者を指導する」などと協力の様子を紹介。委員会で反対意見は出なかった。事前審査に当たった専門家の評価機関は今年10月末に登録を勧告していた。

 遺産の増加に伴い、類似案件を個別に登録するのは難しくなっている。日本からは、次は18年に佐賀市の「見島のカセドリ」、「男鹿のナマハゲ」(秋田)など8県8行事を一括した「来訪神 仮面・仮装の神々」の登録が審査される。その後の候補は決まっていない。

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