入学式で学校が用意した要約筆記用のスクリーン。式辞や祝辞、担任紹介などの文字情報が映し出された=小城市の小城高校

教室の机と椅子の脚に取り付けられたテニスボール。床を引きずる際の摩擦音を抑え、静かな学習環境をつくり出す=小城市の小城高校

 小城市の小城高校(永田彰浩校長)で10日開かれた入学式で、難聴の生徒や参観者に配慮して要約筆記が取り入れられた。式辞の内容や担任紹介などを文字にしてスクリーンに投影。静かな学習環境を整えるため、教室の机や椅子の脚にテニスボールも取り付けた。同校は始業後も生徒や保護者、医療機関などと連携して必要な手だてを検討していく。

 入学生240人の中に、耳を澄ましスクリーンを見つめる福田創大さん(15)=佐賀市=の姿があった。先天性の高度難聴で、幼少期から補聴器を利用している。学校側は文字で映し出すことで、聞き取りにくい発言を補うこともできるとして、佐賀市の要約筆記サークル「虹の会」に対応を依頼。式後のホームルームでは、虹の会の2人が創大さんに寄り添い、担任の説明を要約したノートを見せてサポートした。

 式の冒頭、「ユニバーサルデザイン」の観点から要約筆記を行うと司会者が紹介した。同級生や保護者に障害を正しく理解してもらうためだ。創大さんの母で、県難聴児親の会「ダンボの会」代表の福田純子さん(48)は「思春期に入り、注目されることに葛藤があるかもしれないけれど、不安を抱えているのは息子だけじゃない。誰でも人に支えてられて生きていると感じてくれたら」と話した。

 机や椅子の脚にテニスボールを装着する対応は、創大さんが卒業した後も実践を続けている開成小、鍋島中から教わった。補聴器はどんな音でも大きくするため、机や椅子を引きずる際の摩擦音は利用者にとって大きな苦痛になる。創大さんのクラスだけでなく、隣や上階の教室の机と椅子にも職員総出で取り付けた。

 創大さんは佐賀市の自宅から電車を利用して通学する。中学まで続けてきた陸上競技を続けるかは「まだ分からない」としつつ、充実した高校生活を送りたいと願う。永田校長は「細やかな支援を必要としている生徒は他にもいる。何をすべきかを専門家から学び、できることを考えていきたい」と話す。

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