唐津市では機構改革案に対し議会で不備や危惧が指摘され、議案の撤回も=3月22日

 自治体向け情報サイトに「機構改革」「組織改編」と入力してみる。宮崎県都城市はふるさと納税や6次産業化を一体的に推進する「ふるさと産業推進局」を設置し、高知県四万十町は「地産外商室」を設ける。茨城県鉾田市は3課に分散していた政策調整、秘書、広聴、情報発信業務を集約し、市長直轄の「政策秘書課」を新設する。

 地域経済の衰退と人口減少に歯止めをかけ、成長力を確保するため、首長の権限の下、迅速な政策実現を図る戦略性が目立つ。

 佐賀県内では佐賀市が地域活性化や定住促進事業を統括する「地域政策課」を含む「地域振興部」を新設し、基山町はまちづくり課内の定住促進室を課に昇格させた。小城市はまちづくり課を定住促進課と都市計画課に分割した。

 機構改革は自治体を取り巻く状況と首長の施政戦略を映し出す。今回は「定住促進」がキーワードの一つで、人口縮減にどう対処するか、県内自治体も知恵を絞る。

 一方で賛否、議論も呼んだ。佐賀市では部を超えて男女共同参画課と人権・同和政策課を統合し、課内室とする案について市民団体が「(専任課で)共同参画を進めてきた流れに逆行する」と再考を求めた。唐津市では機構改革そのものに対し議会で不備と危惧を指摘する意見が相次ぎ、関連議案を撤回する異例の事態となった。

 唐津市の機構改革案は企画部を「市政戦略部」に改称し、各部・局を統括する司令塔的な部署に位置づけ、旧郡部から不満の声が上がっていた市民センターの権限を強化するなど大がかりなものだった。就任2年目の峰達郎市長の選挙公約、さらには初めて手がけた新年度予算と対を成し、時流を見据えた戦略的な改革ではあった。

 しかし市長自身、議会で「庁内の意思疎通が不十分だった」と認めたように、職員の配置や事業の継続性をめぐって管理職を含め内部から不安視する声が出ていた。「市長公約の実現に目が向きすぎていた」と反省の弁も聞かれる。

 むろん変革を厭(いと)うような体質があるなら、それは論外だ。

 「行政は人なり」と言われる。公共分野の比重が大きい日本では公務員の働き方次第で福祉も地域づくりも大きく変わる。機構や制度を変えても、職員自身が変わらなければ何も変わらない。職員一人一人の意識改革とともに、それを導き出す首長の役割は大きい。

 新年度のスタートに加え、吉野ヶ里町、有田町に続いて神埼市、伊万里市で首長選挙のただ中だ。首長が公約に掲げた政策やビジョンを職員がいかに受け止め、日々の業務にどう反映させていくか。首長と職員の思いにギャップを生じないよう、まず「信頼」と「共感」の土壌づくりが求められる。(吉木正彦)

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