佐賀県内の児童養護施設を巣立った女性がNPO法人の支援で、振り袖姿で成人式に参加した。職員が着物を貸し出し、着付けやヘアメークは、インターネットでの協力の呼び掛けに応えた人たちが手伝った。女性は晴れ着で職場の介護施設も訪れ、利用している人たちから祝福を受けた。

 女性は20歳になった昨年9月、施設を退所し、県内の介護施設で働き始めた。「生活費を削ってまで振り袖を着なくても」と考え、1月の成人式にはスーツで出席する心づもりでいた。

 振り袖での参加を提案したのは、児童養護施設で暮らす子どもたちの自立を支援しているNPO法人「ブリッジフォースマイル」の地方事務所(佐賀市)。事務局の福島めぐみさん(45)が協力を呼び掛けたところ、事務所の職員が着物を提供。フェイスブックの書き込みを見た佐賀市の奥津真由美さん(44)が着付けを、福岡県久留米市の中村路子さん(36)がヘアメークを買って出た。

 式典当日は児童養護施設の相談室に早朝から集まり、2時間がかりで支度した。女性があでやかな姿で廊下に現れると歓声が上がり、女性は照れ笑いを浮かべて記念写真に収まった。

 会場に向かう途中に立ち寄った職場では施設利用者や職員が拍手で迎えた。利用者の女性は「おめでとう。本当にすてき」と孫に接するように抱きしめた。

 県内には六つの児童養護施設があり、昨年12月1日現在で204人が暮らす。ブリッジフォースマイルは子どもたちが施設を退所する前に1人暮らしの知識を伝えたり、退所後も相談に乗ったりしている。2016年10月に開所した佐賀の事務所が支援してきた退所者を新成人として送り出すのは初めて。

 女性は式典で中学校時代の友人らと旧交を温め、「本当はこうして振り袖を着てみたかった」とつぶやいた。福島さんは「巣立った後も心の支えになるような存在であり続けたい」と見守っていた。(佐賀新聞2018年1月7日付の記事を再構成)

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