新市庁舎の建設に向けて、神埼町保健センター(左)などの取り壊しが進む予定地=神埼市神埼町

 新庁舎の建設に向けた準備が進む神埼市。市政機能が転出する地域からは将来像を心配する声も聞こえてくる。特産品のブランド化を目指す振興策を含め、どう進路を描くのか。8日告示、15日投開票の神埼市長選と市議選を前に市政の課題を探る。

 神埼市神埼町の市街地で3月中旬、公共施設の解体作業が始まった。取り壊されたのは県東部農林事務所と町保健センター。約1万3千平方メートルの跡地は、国道34号を挟んだ近くから移転新築する市本庁舎の敷地になり、2020年度には5階建ての建物が姿を現す。

 新庁舎には、業務の効率化や機能集約に向けて、これまで千代田庁舎に配置してきた教育委員会や議場が移転する。千代田庁舎で働く職員の規模は従来の約3割程度に縮小し、約40人が新本庁舎へ移る。

 「職員が引き揚げてしまって、こっちはがらんとしてしまうんじゃないか」。市報で計画の概要に接してきた千代田町の40代男性は、不安を隠せない。

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 行財政改革の一環として、国主導で進められた「平成の大合併」。神埼市は2006年3月に神埼郡神埼町と千代田町、脊振村の3町村の合併で誕生した。神埼町に本庁機能を据え、千代田と脊振には支所を置いた。

 周辺地域は取り残されるのでは-。こうした懸念は合併前からあったが、今回の機能集約を巡っても「地域の将来を左右しかねない」と心配する声が漏れる。施策には、こうした不安を払(ふっ)拭(しょく)する知恵が欠かせない。

 市は16年に千代田庁舎の利活用方法を巡って住民アンケートを実施した。機能移転に伴って生じる空きスペースをどう生かすか、その手だてや設置してほしい設備を尋ねたところ、回答した77人のうち21人が図書館の拡充を求めた。12人は憩いの場となるフリースペースを希望した。

 こうした声を踏まえ、千代田庁舎の利活用検討委員会は協議を重ねてきた。県内外の施設も視察し、図書館の拡充や市民ホール設置といった方向性を決めている。本年度、生かし方を練り上げていくことになるが、住民の声をどれだけ反映できるかが注目される。

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 合併後、旧3町村の中で最も人口減少率が高い脊振町。ここでは診療所や公民館機能を持つ複合施設をつくる計画が進む。ふれあいの場を創出し、活力を生み出そうとする試みだ。

 「以前はコンビニや酒屋もあったけれど、畳んでしまった。2年前には近くの個人商店もシャッターを下ろした」。地元の70代男性はこう振り返り、生活面でのインフラが細っていく状況を不安視している。「複合施設で買い物もできればいいけれど」

 「買い物難民」になるのではないかと考えるのは、この男性に限った話ではない。今年1月からは住民主体の組織が課題を探り始めている。細かな住民ニーズを市政でどうすくい上げていくかが問われている。

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