販路コーディネーターの吉野英明さん(左)からブース出展の仕方について助言を受ける企業経営者ら=佐賀市の佐賀銀行本店

 佐賀銀行や佐賀共栄銀行など県内の金融機関が、食品商談会の開催に力を入れている。出展企業が販路開拓に成功し、事業規模が拡大すれば将来的に新たな融資先となるからだ。金融庁が担保や保証に過度に依存せず、取引先の事業の将来性をみて融資するよう促していることも背景にある。

 全国の地方銀行52行の主催で11月8、9の両日に開かれた「地方銀行フードセレクション」。11回目を迎えた今回、佐賀銀行は行員32人が出展企業40社のブースに入り、商品の魅力をバイヤーらにアピールした。担当者は「出展企業の商品に、市場でどんな反応があるかを見ることができた。(財務的な数字だけでは分からない)商品や事業内容を深く知り、行員にもプラスになった」と手応えを語る。

 今回は出展企業向けの勉強会も初めて企画。8月から来年3月までの計10回、専門家が出品の準備から商談後のケアまで細かく指導している。11月17日の勉強会には約30人が参加し、バイヤーを引きつける商品の展示法、好感を持たれる電子メールの返信、受け取った名刺の活用法などを学んだ。

 銀行がこうした取り組みに力を入れる背景には、金融庁の方針がある。バブル経済崩壊後の不良債権処理で行ってきた資産査定中心の評価を見直し、事業内容や将来性を重視する「事業性評価」に基づく融資、支援を推進。金融機関が企業のニーズや課題を理解し、事業の「目利き力」を高めるよう求めている。

 佐賀共栄銀行は11月22日、鹿児島、山口、高知の4金融機関と共に食品の個別商談会を初めて開いた。県内の食品メーカー5社が、事前に希望していたスーパーや卸業者、百貨店など約15社のバイヤーに商品を売り込んだ。

 担当者は「首都圏だけでなく九州、中四国に販路を広げるきっかけになったと思う。バイヤー、出展企業ともに銀行が開く商談会ならではの安心感があったようだ」と指摘する。行員は事前に工場を訪ねて製造工程から学んでおり、「私たちも企業のことを深く知ることができた。大手銀行と金利で競争するのは厳しいが、企業との距離を縮めることで、うちの融資を選んでもらうきっかけになるはず」と期待を込めた。

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