神埼郡吉野ヶ里町の陸上自衛隊目達原駐屯地。所属するヘリの墜落事故後、一部飛行を再開したヘリが離着陸している

 佐賀県神埼市千代田町の民家に陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)のAH64D戦闘ヘリコプターが墜落し、隊員2人が死亡、女児1人が負傷した事故から5日で2カ月になる。この間、佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画に関する議論は、中断した状態が続いている。再燃するのは、6月上旬以降とされる事故調査結果の報告次第という観測が流れている。

 2月5日の墜落事故を受け、目達原駐屯地では春の恒例イベントが「延期または中止」の状態になった。4月8日に予定されていた創立64年の周年記念行事。例年、物産展や車両の体験搭乗などでにぎわう。広報室は「隊員が殉職しており、理解してもらえると思う」と話した。

 自粛ムードの中で、オスプレイの配備計画を巡る議論も事実上ストップしている。事故後、小野寺五典防衛相は「話をする段階にない」と述べ、山口祥義知事も「県としてもそういう状況」と説明した。

 事故前、計画について山口知事は定例会見で、防衛省に求めているオスプレイの安全性に関する説明を「2月議会前に来ていただければ議論ができる」と話していた。昨年の7月には県議会、12月には佐賀市議会が受け入れを求める決議を可決。県も各漁協支所を訪問して防衛省への要望を聞き取り、防衛省とも事故時の補償の枠組みなど「詰めた議論」(知事)をしており、知事の判断に向けた「地ならし」は進んでいた。

 受け入れを求めてきた自民党県議団は事故から2カ月が経過した今も「被害者の心情を考えれば、しばらくは議論することも考えていない」と話す。国会議員を含めたプロジェクトチームの会合も開いていない。

 自民系の市議の一人は「神埼市や吉野ヶ里町などで無視できない声が増えた。進めたくても今は声高に言える状況ではない」と漏らす。

 県も防衛省や漁協とのやりとりは再開していない。原因や再発防止策の説明があるまでは「議論する環境にない」という立場で、県幹部は「あくまでもボールは防衛省にある」と話す。

 ただ、佐賀空港への配備計画が消えたわけではない。自民のベテラン県議は議論の再開について「6月県議会前に被害の補償が進み、調査結果の説明があるのかどうか」と話し、最終的な結果が出ない場合でも「防衛省も何らかの手だてを考えているはず」。年末にも予定される知事選もにらみつつ、それぞれの思惑が交錯している。

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