佐賀県は再生可能エネルギー(再エネ)の余剰電力を水素に変換し、貯蔵や発電をするための研究に乗り出す。本年度からシステムの基本設計に着手し、水素利用の新たなモデルづくりを目指して実現性や導入コストなどを検証し、県内での再エネ拡大や産業化の可能性を探る。

 県が取り組むのは、余剰電力を気体燃料に変換して貯蔵し、利用する「パワーツーガス」と呼ばれる仕組み。太陽光発電の電力で水を電気分解し、水素を発生させて貯蔵した上で、必要に応じて水素で発電する。実証実験に向けてシステムの基本設計を進め、機種の選定や導入、運用コストなどを検証する。事業費は3240万円。

 県はこれまでも再エネ導入を推進し、10キロワット未満の太陽光発電で世帯当たりの普及率が全国トップ。ただ、地理的条件から小水力や地熱分野は開発が難しい上、太陽光や風力発電は、固定価格買い取り制度で定められた接続可能量が限界に近く、再エネの規模拡大は困難な状況にある。

 太陽光や風力発電は、気象条件によって発電量が変動し、立地の制約があるほか、短時間の供給に限定される。このため、パワーツーガスの取り組みで課題を克服し、再エネの拡大を模索する。別の自治体でも同様の取り組みが進んでいるが、県独自にシステムを構築することで、県内企業の参画の可能性を探る。

 検証結果を踏まえて、実証実験に進めるかどうかを判断する。県新エネルギー産業課は「手探りだが、課題を真正面から受け止め、将来の産業化を目指したい」と話している。

 山口祥義知事は2017年4月に九州電力玄海原発の再稼働に同意した際、将来的に原発に頼らない社会の実現に向け、新エネルギー分野に取り組む姿勢を示している。

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