「ない」ものが、また出てきた。安倍政権になって同じようなことばかり起こる。イラクに派遣された陸上自衛隊の日報である。なんともいい加減な話だ。「中途半端だと愚痴がでる。いい加減だと言い訳がでる」という言葉がある。今度はどんなつじつま合わせを聞かされるのか◆イラクは日本から遠く離れた中東の国。現在でも、外務省の示す渡航危険度はシリア、アフガニスタンなどと並んで最も高く、日本国民がその国情に触れる機会はほとんどない。そんな地での日報は、日本の政策に欠かせない重要な検証資料のはずだ◆「危ないと思ったら撃て」。そう指導した指揮官が多かったという。派遣当時、イラクは戦闘状態にあった。宿営地にロケット弾が着弾、砲撃も十数回に上った。常に危険と隣り合わせにあり、当時の小泉純一郎首相が言い張った「非戦闘地域」とは大違いだ◆気の毒なのは隊員だろう。自分たちの行動記録が「ない」ものにされたり、「出てきた」りする。派遣された陸自隊員は延べ5500人。任務遂行の具体的な記述を残す使命も感じていたはずだ◆過酷な「戦地」での活動。そこで何があったのか。帰国後、自殺した隊員もいる。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症するリスクは語られたのか。無表情な防衛相の会見を聞いても霧は晴れない。(丸)

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