松尾儀助の功績を紹介した儀助のひ孫に当たる田川永吉さん=佐賀市のこねくり屋

 幕末の佐賀に生まれ、明治初期に政府の支援を受けて貿易会社を設立した松尾儀助を紹介する講演会が3月31日、佐賀市で開かれた。儀助のひ孫にあたる田川永吉さん(81)=神奈川県=が登壇し、工芸品などを世界に売り込み、偉人たちと関わってきた儀助の足跡を語った。

 1873年にウィーンで開かれた万国博覧会をきっかけに、事務総裁だった大隈重信らの後押しを受けて、儀助は外国の商社と取引する「起立きりゅう工商会社」を設立し、社長を務めた。

 パリ支店も構え、1889年のパリ万博では日本の出展手配を担当。有田焼など美術工芸品を出品、ジャポニスム(日本趣味)を広めた。田川さんは「ジャポニスムに関心があった画家・ゴッホとも交流があった」と紹介、起立工商会社が輸出していた茶箱の裏にゴッホが絵を描いたことも知られているという。儀助はボストン美術館にも多くの美術館を寄贈しており、「今も展示してあるので、ぜひ見に行ってほしい」と呼び掛けた。

 また、新渡戸稲造が新婚旅行からの帰りに客船で儀助と出会い、新渡戸の妻メリー・エルキントンが「気品があり、好感が持てた」と印象を語ったエピソードについても話し、儀助の素顔に迫った。

 講演会は、儀助が茶商として活躍し、紅茶の製造に取り組んだことから和紅茶専門店「紅葉くれは」(佐賀市)が企画した。田川さんは「歴史に残る人物と交流があった松尾儀助の隠れた功績を少しでも多くの人に知ってほしい」と話した。

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