夏休みなど小中学校の長期休暇の一部を別の時期に移す「キッズウイーク」を、武雄市が本年度から導入する。国が導入を進める制度で有給休暇の取得促進など目的も多岐にわたる。学校現場だけでなく、企業や地域社会、市民にも目的を含めて広く周知し、休みを過ごす環境づくりへの協力を呼びかける必要がある。

 キッズウイークは、政府が「休み方改革」の一環として創設を提言し、自治体が準備を進めている。関係省庁を統括して創設を進める内閣官房は、2月時点で全国で10自治体が導入を検討していることを把握している。新たに休日を設ける形のほか、地域の祭りなどの際に設けている既存の自治体独自の休日をキッズウイークにするケースもある。現在、文部科学省が導入自治体の調査を進めており、近く結果がまとまる。

 佐賀県内では武雄市が導入を決定した。10月6~8日の3連休の直前の5日も休みにして4連休にする。武雄市の市立の小中学校は2学期制で、10月9日からの2学期を前に、4日間を休みにして新しい学期に備える。

 キッズウイークにはさまざまな目的がある。子どもには家族と一緒に過ごしたり、地域行事や社会を学ぶ活動に参加したりできるような環境を用意する。大人には休み方改革や働き方改革の一環として、取得率が5割を下回っている有給休暇の取得を促す。雇用側の意識改革と協力も欠かせない。そのほか、まとまった休みを増やすことで、消費や観光需要を喚起する狙いもある。

 制度導入について課題や問題点の指摘もある。「保護者が一斉に休暇が取れるか」「職場の理解は得られるか」「休暇が取れない人の子どもはどう過ごす」「長期休暇の短縮で学校行事や部活動や大会に影響はないか」-などだ。確かに現実的に休暇が取れるかどうかは大きな問題。市外勤務で周囲が事情を知らない状況では職場の理解は得にくいだろうし、サービス業など職種によっては取得が難しいケースもあるだろう。

 武雄市もこうした課題を解消する対応は考えている。保護者が休めない子のために、放課後児童クラブを朝から開設して対応する。また、地域の公民館などに子どもが楽しめる企画や地域の大人と交流できる催しの開催を要請する。

 一方、企業や事業所には、商工会議所や商工会を通じて、キッズウイーク実施の周知や休暇取得への協力を呼びかける。子どもが参加できる職場体験や見学会開催なども考えてもらい、子どもの社会参加の場や、休めない父母の職場や仕事を知る機会にする。市役所でも職場体験などを企画する計画で、こども図書館といった公営施設でもキッズウイークのための企画を打ち出す考えだ。子ども関係の施設には、料金割引なども要請する。

 協力要請など具体的な動きはこれからだが、関係者だけの制度にせず、市民にも広く周知を図りたい。キッズウイークというネーミングは子どもだけの行事と思われがちだ。家族のふれあいや子どもと社会のつながり、さらには働き方改革まで多様な意味を持つ制度ということを伝え、考える機会にしたい。そうできないと、単に休日を1日動かしただけになる。(小野靖久)

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