洋画家岡田三郎助(1869~1939年)。その人物相関図を開くとため息が出そうな華麗さである◆岡田は、かの森鴎外の媒酌で、劇作家・小山内薫の妹・八千代と結婚。小山内は築地小劇場を創設した著名な演出家でもある。八千代自身も女性劇作家育成のための研究会を主宰するなどした才人で、従兄弟(いとこ)には洋画家藤田嗣治がいる◆佐賀藩士の名家に生まれた岡田は、幼児期に旧藩主鍋島直大邸で百武兼行の油絵を見て洋画に関心を持ったとされるが、1937年、時の総理大臣・広田弘毅の発案で創設された第1回文化勲章を受章。晴れの受章者には小説家幸田露伴、歌人佐佐木信綱、また洋画の藤島武二、日本画の横山大観ら、そうそうたる顔ぶれである◆1908年、岡田は東京・恵比寿に瀟(しょう)洒(しゃ)なアトリエを建て、隣には女子洋画研究所を設けた。そこには岡田を慕う女性画家の卵たちが集った。帝展で女性として初めて特選を受賞した有馬三(さ)斗(と)枝(え)をはじめ森田元子、三岸節子、いわさきちひろ…◆そんな岡田のアトリエが県立美術館広場に移設され、その記念展「はじまりはここから-岡田三郎助と女性画家たち」が開幕(5月20日まで)した。明治から大正、昭和と移り変わる時代の中で岡田は何を教え、弟子たちは何を学んだか。まさに「ここからはじまる物語」である。(賢)

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