低平地と沿岸海域をテーマにした佐賀大学の研究機関「低平地沿岸海域研究センター」が3月末で姿を消す。4月の機構改革に伴い教員の所属先が二つに分かれるためで、大学側は「組織はなくなっても研究は継続される」と説明する。ただ、佐賀大の特徴的な研究領域として知られ、四半世紀以上「低平地」の名称を冠してきた組織がなくなることで、有明海研究への影響を心配する声もある。

 大学は4月1日、教員組織と教育組織を分離する改編を実施する。これに伴い、センターの教員8人の所属先は新たな教員組織「教育研究院」に移り、研究内容によって「理工学系」と「農学系」に分かれる。

 佐賀大に「低平地」の名称がつく組織ができたのは1991年。防災対策や環境保全を研究する「低平地防災研究センター」として発足し、2001年に「低平地研究センター」に衣替えした。10年には有明海異変の原因解明や再生に取り組む「有明海総合研究プロジェクト」も取り込む形で現センターが誕生した。

 有明海プロジェクトは04年に始まり、現在は佐賀大を中心に沿岸4県の大学で21年度までの計画で共同研究に取り組んでいる。

 大学側は農学系の教員が研究を継続すると問題視していないが、プロジェクトの立ち上げに関わった佐賀大名誉教授の荒牧軍治さん(74)は「研究者個人の取り組みに頼らざるを得なくなる」と懸念する。その上で「地域貢献を掲げる大学にとっても重要な研究分野のはずなのに」と、特色をアピールできる名称を取りやめたことを疑問視し、蓄積してきた成果を今後につなげていけるかどうか気をもんでいる。

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