佐賀大学(宮﨑耕治学長)の本庄キャンパスに4月2日、無人店舗が開店する。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)を活用した実証実験。最先端の技術を地元で体験できるのはもちろん、事業が地元企業とのタイアップであることが誇らしい。

 同大に本店を置くシステム開発のオプティム(菅谷俊二社長)とインターネット通販を手掛けるMonotaRO(モノタロウ、東京都)が業務提携し、モノタロウ初の実店舗となる。工具や事務用品など約2千品目を販売する。

 専用アプリをスマートフォンにダウンロードし、店頭の端末にQRコードをかざして入退店する。店内では商品のバーコードをアプリで読み取って決済するためレジはない。商品を手にとって品定めしたり、買い物かごに入れたりする客の行動は、店内のカメラ映像を通し、オプティムが開発した画像解析システムを活用しAIで解析。防犯だけではなく、年齢構成や売れ筋商品などを把握して購買動向などを分析し、マーケティングにも役立てる。

 国内は少子高齢化に伴い、人手不足が深刻化している。総務省の労働力調査によると、2017年4月現在の就業者数は6500万人だが、13年後の30年には1割を超える700万人が減ると予測。こうした事態の解決策として今後、先端技術を活用した無人化や自動運転が一層進むのは確実だ。

 世界に目を移すと、米国では既にアマゾン・ドット・コムが無人店舗「アマゾン・ゴー」を展開。ほかにも情報通信技術(ICT)を活用した変革は各地で急速に進んでいる。殊にアフリカの新興国で顕著で、固定電話を経ずにスマホが入り、紙幣ではなく電子マネーの導入やモバイル決済が普及するなど、最先端のテクノロジーにより、社会構造改革が爆発的に進行している。

 段階的に発展した先進国の最新技術が入り、一気に追いつき追い越してしまうこの現象は「リープフロッグ(カエル跳び)」と呼ばれる。発展途上国はインフラや法規制が未整備だ。だが、それ故に新しい技術を取り入れやすい。逆に近代化した日本などは既得権益や法の壁などに阻まれ、イノベーションが起こりにくい。実際、国内ではドローン一つ飛ばそうにも、事故の懸念から規制がかかることもしばしばだ。

 カエル跳びで、どんどん先に進んでいく途上国。翻って日本はこのまましがらみや規制に縛られて新技術への挑戦を阻み、既成概念を打ち破る“ひらめき”を生む教育も実践できなければ、数十年後には彼我の差はどれほど開いているだろうか。

 こうした不安があるからこそ、佐賀大学を“磁場”とした地方の挑戦に期待をつなぎたい。同大では無人店舗のほかにも、ICT教育の拠点となる「クリエイティブ・ラーニングセンター」を開設したり、地元IT企業の木村情報技術(佐賀市、木村隆夫社長)とAIで学生の就職を支援するシステム開発に取り組むなど近年、この分野に非常に力を入れている。

 佐賀は今、明治維新150年で盛り上がりつつある。知の拠点である大学と地元企業のタッグで、再び佐賀の地から日本を変えるようなイノベーションが起こることを強く望んでいる。(森本貴彦)

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