国が決める医療と介護サービスの対価が4月から変わる。2018年度は診療報酬と介護報酬が6年ぶりの同時改定。超高齢社会への対応に向け、医療と介護の連携強化を図るのが大きな柱だ。病院中心から在宅重視への流れを加速させる内容になっている。

 団塊の世代が全員75歳以上となる2025年は、医療・介護費の急増が予想される。今回の診療・介護報酬の同時改定は、この「2025年問題」に備え、制度を見直す実質的には最後の機会となる。

 超高齢社会を迎え、お年寄りが住み慣れた地域や自宅で最期まで暮らせるよう、在宅療養の態勢を拡充すると同時に、高齢者に自立生活を促す。年間死者数が130万人を超す「多死社会」が本格化する中、「みとり」の態勢も強化する。

 在宅医療では、かかりつけ医の普及に重点を置いた。訪問診療や夜間・休日に対応するかかりつけ医を対象に、初診料に上乗せをする。また、複数の診療所が連携して、24時間体制を整備した場合の加算を新設し、訪問診療を行う医師と、介護側のケアマネジャーとの連携強化も促した。

 ただ、在宅医療は診療報酬だけでは対応できない部分もある。大きな課題の一つは、担う医師と訪問看護師が不足していることである。教育も追いついておらず、医師会や行政の理解が進んでいるところと、そうでないところで、地域差が出てきている。

 在宅医療に従事する医師は、24時間365日の対応をする。だが、学会などの出張が入った場合、医師会でカバー体制を敷いているところは都市部にはあるが、佐賀県内はまだまだだ。医師同士、さらには診療所と病院の連携を進める必要がある。

 ここ数年、佐賀市では医師会の取り組みで在宅医療の土台ができつつある。推進する病院のもとに、訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャー、理学療法士、ヘルパーなどの多職種のメンバーが定期的に集まり、ディスカッションをしている。ただ、まだ積極的に患者を受け入れるところまではいってない。

 在宅医の高齢化も問題になっており、今回の診療報酬での後押しは、人材を育てる面でプラスに働こう。

 在宅医療と介護の連携推進は市町村事業である。県や医師会だけでなく、介護保険を運営する市町村の責任は重い。医師会と行政の役割は違うのである。

 医師会は患者向けの啓発はできるが、健康な市民へ対しては行政の出番だ。在宅医療を含め、どのような終末期を迎えたいか、住民に考えてもらうため市町村の積極的な取り組みが求められる。

 大分県臼杵市は、この分野の先進地だ。医療・介護・福祉に関わる専門職と市が協力し、月1回、定期的に会議を開いて地域包括ケアシステムについて議論。高齢者や障害者、認知症の人、妊婦など、誰もが住みやすいまちづくりを目指し、在宅医療の推進も含めて市民啓発事業を展開している。これも参考にしたい。

 この先、超高齢社会に対応できる地域医療づくりを急ぐ必要がある。専門職、行政を巻き込んで、うまく連携して乗り切りたい。(横尾章)

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