九州新幹線長崎ルート

 九州新幹線長崎ルートの整備方式を検討している国土交通省が、開発中のフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)では山陽新幹線への乗り入れによる関西直通が実現できないとする初めての見解をまとめたことが28日、分かった。FGT導入の追加事業費が佐賀県の想定を大幅に上回る1千数百億円規模に膨らむ試算結果も出た。県が新幹線計画に同意した前提の「関西・中国方面からの『人の流れ』の実現」がFGTでは困難になったことで、厳しい対応を迫られることになる。

 国の新たな試算では、FGTに代わる案として長崎県が求めている全線フル規格で整備した場合、追加の事業費は6千億円程度となり、佐賀県の追加負担も1千億円超になる。県は独自に追加負担を800億円以上と試算して難色を示してきたが、それを大きく上回ることが分かり、県の態度が一層硬化することも予想される。

 FGTは最高速度が時速260キロなのに対し、山陽新幹線は最高300キロで走行している。国交省は、FGTがこの速度で走ると高速安定性に問題が生じ、ダイヤ編成の面などから山陽新幹線への乗り入れは難しいと判断した。JR西日本もこれまで最高速度の遅いFGTの乗り入れには疑問を呈していた。

 仮にFGT開発が順調に進んだ場合でも、工期に約9年を要し、長崎ルートへの導入は2027年度半ばになることも分かった。全線フル規格で整備する場合は環境アセスメントに4年前後、工期を約12年とみている。用地買収や沿線自治体の同意にかかる期間は明示していない。

 国交省は、在来線の線路幅をフル規格の幅に広げて直通できるようにする「ミニ新幹線」方式も検討。上下線の一方だけフル規格幅にする案と、上下線とも広げる案の2パターンで試算した。フル規格に比べ事業費が10分の1~20分の1に抑えられるとの見方もあったが、大幅に上回る1千億~2千億円台としている。工期は整備パターンや工法により約8~18年とみている。

 費用対効果でみると、全線フル規格が最も高く、ミニ新幹線の2パターンいずれもFGTを上回った。国交省はこうした比較検討結果を30日の与党検討委員会で報告する。

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