陶磁器店が軒を連ねる有田の町並み。20世紀遺産20選に選ばれるなど、歴史と伝統を生かした観光施策が求められる=有田町 

 任期満了に伴う西松浦郡有田町長・町議選は4月3日告示、8日投開票される。有田焼創業400年の節目を終え、伝統産地の盛り上げなど次の百年を見据えた活性化策が問われる。町の現状と課題を探った。

 日本を代表する焼き物産地有田。記念の年となった2016年は、メディアに取り上げられることも多く、「有田焼」を改めて全国にアピールした。窯元や商社は同時に新商品開発や国内外市場開拓にも力を入れた。

 有田焼の売り上げはバブル崩壊後の構造不況の中で、世界焱(ほのお)の博覧会があった1996年を除き、右肩下がり傾向が続いていた。節目の年はPR効果もあり、共販売り上げが好転したが、昨年は微減から横ばい。売り上げはピーク時の1990年の6分の1ほどにとどまる。

 県陶磁器工業協同組合の原田元・理事長(56)は「新商品開発などの効果がすぐに出るとは思っていない。これから売り上げが少しずつでも伸びれば」と期待。「有田焼が脚光を浴び、商社や窯元に若手後継者が戻ってきたことが『400年』の大きな効果」とみる。その上で、窯元などで働く兼業農家が多いことも指摘する。「窯業界の不振は町全体に影響する。全国の百貨店で開催した『有田の魅力展』など窯業界一体となった取り組みがこれからも必要」

 有田陶器市以外の観光客をどう増やすかも長年の課題となっている。17年の観光客数は254万人。合併当初の06年と比べると約30万人増えているが、毎年、約半分は陶器市の集客だ。

 陶器市頼りの集客脱却を目指す動きも本格化している。「秋の陶磁器まつり」「雛(ひいな)のやきものまつり」はともに10年以上続き、3年前からは「有田まちなかフェスティバル(アリフェス)」も始まった。

 アリフェスは町民やグループが自ら考えた100以上の企画を同時多発的に行う。昨年からは通年で開催し「窯業や農業など町の特色を生かした観光町づくり」を模索する。

 主導する有田まちづくり公社の高田亨社長(69)は、昨年末に選定された「日本の20世紀遺産20選」に加え、町内には棚田百選など自然百選が12あることを挙げ、「有田の潜在力は高いが、生かし切っていない」と観光振興の施策の必要性を訴える。

 窯業の町・旧有田町と農業が盛んな旧西有田町の合併から12年。窯業に代表される歴史と文化とともに、豊かな自然も残り、「有田」をアピールする素材は多い。伝統産地の継承や農業の活性化と、観光との連携をいかに進めるか。町の将来像を描く視点が問われる。

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